気になったニュース転載
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2019/04/25 02:25:39
「お通し」に気を付けよ・・・GWに日本を訪れる中国人に、中国大使館が注意喚起
2019年4月24日 10時12分 サーチナ
中国メディア・中国新聞網は23日、5月1日より始まる中国のメーデー4連休に合わせて日本を訪れる中国人観光客向けに、在日中国大使館が5項目の注意喚起事項を発表したと報じた。
まず1点めは、日本入国には有効期間が6カ月以上残っているパスポートが必要であり、入港前に飛行機チケットの購入証明、ホテルの予約証明を準備し、入国審査時の説明に備えるよう求めた。また、生肉やハム、ソーセージなどの持ち込みが禁止されていることにも言及している。
2点めは医療面での注意事項を挙げ、日本の医療費は高額であり、事前に必ず各種保険に加入しておくよう呼びかけた。また、近頃では訪日中国人が過度の飲酒後や入浴中の転倒、突発的な心臓や脳の発作を起こすケースがしばしば発生しており、持病がある人や高齢者は特に注意するとともに、常備薬を必ず携帯するよう求めた。
3点めは、乗り物や宿泊施設、観光ツアーの予約などは、必ず正規のルートを通じて行うこととした。特に、違法営業の民泊施設や「白タク」に留意することを呼びかけるとともに、日本でのレンタカー運転は日本の運転免許か法的に認められた国際免許証が必要であることにも触れた。
4点めは、今年のメーデー連休は日本の10連休と重なり、各地の大型観光スポットや公共交通機関が非常に混雑することが予想されるため、事故に十分注意するよう喚起した。また、勝手に他人の家に入らない、写真を撮る際には撮影禁止の注意がないか確認する、人を撮影する場合は本人に許可を得るなど、日本の法規や交通ルール、マナーを順守するよう呼び掛けている。
そして、5点めには、日本では商品の返品に関する規定が店によって異なるため、商品やサービスを購入する前に事前に返品やキャンセルが可能か確認する必要があるとした。日本では政府や関係当局が商店に対して強制的に返品を受け付けさせることはないと紹介し、特に日本の飲食店ではサービス料や「お通し」といったミニマムチャージが暗黙のうちに設定されていることが多く注意が必要だと伝えた。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
2019年4月24日 10時12分 サーチナ
中国メディア・中国新聞網は23日、5月1日より始まる中国のメーデー4連休に合わせて日本を訪れる中国人観光客向けに、在日中国大使館が5項目の注意喚起事項を発表したと報じた。
まず1点めは、日本入国には有効期間が6カ月以上残っているパスポートが必要であり、入港前に飛行機チケットの購入証明、ホテルの予約証明を準備し、入国審査時の説明に備えるよう求めた。また、生肉やハム、ソーセージなどの持ち込みが禁止されていることにも言及している。
2点めは医療面での注意事項を挙げ、日本の医療費は高額であり、事前に必ず各種保険に加入しておくよう呼びかけた。また、近頃では訪日中国人が過度の飲酒後や入浴中の転倒、突発的な心臓や脳の発作を起こすケースがしばしば発生しており、持病がある人や高齢者は特に注意するとともに、常備薬を必ず携帯するよう求めた。
3点めは、乗り物や宿泊施設、観光ツアーの予約などは、必ず正規のルートを通じて行うこととした。特に、違法営業の民泊施設や「白タク」に留意することを呼びかけるとともに、日本でのレンタカー運転は日本の運転免許か法的に認められた国際免許証が必要であることにも触れた。
4点めは、今年のメーデー連休は日本の10連休と重なり、各地の大型観光スポットや公共交通機関が非常に混雑することが予想されるため、事故に十分注意するよう喚起した。また、勝手に他人の家に入らない、写真を撮る際には撮影禁止の注意がないか確認する、人を撮影する場合は本人に許可を得るなど、日本の法規や交通ルール、マナーを順守するよう呼び掛けている。
そして、5点めには、日本では商品の返品に関する規定が店によって異なるため、商品やサービスを購入する前に事前に返品やキャンセルが可能か確認する必要があるとした。日本では政府や関係当局が商店に対して強制的に返品を受け付けさせることはないと紹介し、特に日本の飲食店ではサービス料や「お通し」といったミニマムチャージが暗黙のうちに設定されていることが多く注意が必要だと伝えた。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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2019/04/25 02:22:28
女子小学生向け「JS雑誌」実は危険がいっぱい!? 編集長が女児モデルとホテルで不適切行為 フリー編集者「被害告発が続出する可能性も」
2019年4月24日 17時11分 ZAKZAK(夕刊フジ)
小学生向け雑誌への不信感が広がっている。3月上旬、小学生向けファッション誌「JSガール」(三栄書房)の40代編集長が、地方から仕事に来たキッズモデルと同じホテルに宿泊し、パンツにバスローブ姿となって同じベッドで寝る不適切行為をしていたと「週刊文春」が報じた。編集長は同誌の取材に、事実を認めているというが、業界内では大人が女児を性的な対象にみる不祥事がささやかれている。
小学生向け雑誌に携わったことのあるフリー編集者は「昔は『小学6年生』とか教育的な色が強かった小学生向け雑誌も、いまやタレント予備軍の読者モデルの活動の場で、娘の晴れ姿が載った雑誌を親が何冊も購入するビジネスモデルになっている」という。
それらは業界内でJK(女子高生)、JC(女子中学生)と区別されるJS(女子小学生)誌と呼ばれ、2011年創刊の「JSガール」ほか、いくつかの雑誌が00年代から創刊され、隔月刊ながら出版不況を生き抜いてきた。
「問題の『JSガール』は小学生以下の女児を募集した読者モデルを表紙に載せ、芸能界に憧れる少女たちの入口でしたが、一方で彼女たちを性的な目で見る大人のロリコン読者もいるので、極力そういう目線を感じさせないようにするのが雑誌側の務めなんです。それなのに監督者の編集長がこんな事態を引き起こすとは…」と先のフリー編集者。
三栄書房は4月22日に発売予定だった次号の発売延期を発表したが、前出の編集者は「一番売れる新学期の刊行を断念したほどで、同種の雑誌全体への不信感が広がる心配がある」という。
「さらに編集者の間では、“#MeToo”運動のように、被害告発が続出する可能性も否定できません。どの雑誌とは言いませんが、以前この手の雑誌で仕事をしたカメラマンの中年男性が『個人撮影してあげる』と女児を誘い出し自宅で服を脱がせたとか、下請け編集者が女児と交際していたとか、雑誌側しか持っていないはずのボツ写真がロリコン系サイトに掲載されていたとか、マズい話がささやかれたことがあります。これまでは女児の将来を心配した保護者が表沙汰にしたがらず、人に知られることなく終わっていたらしいですが、状況が変わってくるかも」
夢見る子供を傷つけてはならない。
2019年4月24日 17時11分 ZAKZAK(夕刊フジ)
小学生向け雑誌への不信感が広がっている。3月上旬、小学生向けファッション誌「JSガール」(三栄書房)の40代編集長が、地方から仕事に来たキッズモデルと同じホテルに宿泊し、パンツにバスローブ姿となって同じベッドで寝る不適切行為をしていたと「週刊文春」が報じた。編集長は同誌の取材に、事実を認めているというが、業界内では大人が女児を性的な対象にみる不祥事がささやかれている。
小学生向け雑誌に携わったことのあるフリー編集者は「昔は『小学6年生』とか教育的な色が強かった小学生向け雑誌も、いまやタレント予備軍の読者モデルの活動の場で、娘の晴れ姿が載った雑誌を親が何冊も購入するビジネスモデルになっている」という。
それらは業界内でJK(女子高生)、JC(女子中学生)と区別されるJS(女子小学生)誌と呼ばれ、2011年創刊の「JSガール」ほか、いくつかの雑誌が00年代から創刊され、隔月刊ながら出版不況を生き抜いてきた。
「問題の『JSガール』は小学生以下の女児を募集した読者モデルを表紙に載せ、芸能界に憧れる少女たちの入口でしたが、一方で彼女たちを性的な目で見る大人のロリコン読者もいるので、極力そういう目線を感じさせないようにするのが雑誌側の務めなんです。それなのに監督者の編集長がこんな事態を引き起こすとは…」と先のフリー編集者。
三栄書房は4月22日に発売予定だった次号の発売延期を発表したが、前出の編集者は「一番売れる新学期の刊行を断念したほどで、同種の雑誌全体への不信感が広がる心配がある」という。
「さらに編集者の間では、“#MeToo”運動のように、被害告発が続出する可能性も否定できません。どの雑誌とは言いませんが、以前この手の雑誌で仕事をしたカメラマンの中年男性が『個人撮影してあげる』と女児を誘い出し自宅で服を脱がせたとか、下請け編集者が女児と交際していたとか、雑誌側しか持っていないはずのボツ写真がロリコン系サイトに掲載されていたとか、マズい話がささやかれたことがあります。これまでは女児の将来を心配した保護者が表沙汰にしたがらず、人に知られることなく終わっていたらしいですが、状況が変わってくるかも」
夢見る子供を傷つけてはならない。
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2019/03/27 03:28:25
激レアさんを連れてきた
医師からハリウッドで映画監督になった人
ヤマグチテツヒロ
今は、映画監督してなくて、医師でご飯食べてるらしい
映画監督時代の名前は、スパイシーマック
https://spicymac7.wixsite.com/spicymacproject
この映画、無料で観れる。
実は、2009年のメキシコ国際映画祭 パルムドール賞受賞 !!
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実は、2009年のメキシコ国際映画祭 パルムドール賞受賞 !!
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2019/03/27 03:19:25
富田晶子のブログ
https://ameblo.jp/shokoflairkonjo/entry-12416278835.html
赤坂のバー
Bar 園 ( バーえん)
本人は出張が多いのでほとんどいないらしい
東京都港区赤坂3-12-18 第8荒井ビル5-C
https://ameblo.jp/shokoflairkonjo/entry-12416278835.html
赤坂のバー
Bar 園 ( バーえん)
本人は出張が多いのでほとんどいないらしい
東京都港区赤坂3-12-18 第8荒井ビル5-C
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2019/03/27 03:16:37
激レアさんを連れてきた。で特集。
ホームレスからフレアバーテンダー世界1位になった人
http://www.shokoflair.com/gallery.html
富田晶子
ホームレスからフレアバーテンダー世界1位になった人
http://www.shokoflair.com/gallery.html
富田晶子
[8]
2019/03/26 01:28:18
くし揚げ店「串乃家」破綻 負債総額6億5千万円
3/25(月) 18:18配信 神戸新聞
くし揚げ店「串乃家」を神戸、大阪で展開する神戸ファインフーズ(神戸市灘区)が25日、民事再生法の適用を神戸地裁に申請し、保全命令を同日受けたことが分かった。申請代理人の弁護士や帝国データバンク神戸支店によると、負債総額は約6億5千万円。
肉牛牧場を経営する神戸畜産(丹波市)が同社の支援に名乗りを挙げており、店舗や屋号、従業員は引き継がれる見通し。
1979年設立。串乃家の屋号で神戸市中央区や大阪市に店舗を展開するほか、神戸、東京、大阪の「デパ地下」にも出店。ピーク時の2009年3月期には売上高約9億1300万円を計上していた。しかし、消費減退と競争激化などで18年3月期には約6億4200万円に下落。赤字経営が続いていた。不採算店の閉鎖や人員削減に踏み切ったが効果は限定的で、自主再建を断念した。
3/25(月) 18:18配信 神戸新聞
くし揚げ店「串乃家」を神戸、大阪で展開する神戸ファインフーズ(神戸市灘区)が25日、民事再生法の適用を神戸地裁に申請し、保全命令を同日受けたことが分かった。申請代理人の弁護士や帝国データバンク神戸支店によると、負債総額は約6億5千万円。
肉牛牧場を経営する神戸畜産(丹波市)が同社の支援に名乗りを挙げており、店舗や屋号、従業員は引き継がれる見通し。
1979年設立。串乃家の屋号で神戸市中央区や大阪市に店舗を展開するほか、神戸、東京、大阪の「デパ地下」にも出店。ピーク時の2009年3月期には売上高約9億1300万円を計上していた。しかし、消費減退と競争激化などで18年3月期には約6億4200万円に下落。赤字経営が続いていた。不採算店の閉鎖や人員削減に踏み切ったが効果は限定的で、自主再建を断念した。
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2019/03/25 14:28:41
元国税芸人さんきゅう倉田の「役に立ちそうで立たない少し役に立つ金知識」 第91回 テキ屋のくじ引きは景品表示法違反だよ
2019年3月20日 23時43分 マイナビニュース
元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな税務署の人のジャンパーの色は「オレンジ」です。
人は、毎日素晴らしい商品や素敵なサービスを求めています。しかし、実際よりも良く見せる表示や過大な景品の提供でお客さんを釣り、良くない商品やサービスを買わせようとする業者もいます。そういう業者から、あなたを守るのが“景品表示法”です。
景品表示法では、過大な景品の提供を禁止しています。景品には、物やお金、経済的利益があり、「賞品」や「プレゼント」と呼ばれることもあります。日常生活で関わりのある、いわゆる”懸賞“や“福引き”、”くじ”は景品表示法のルールの中で行われています。
そのルールでは、一部の商品に景品をつけて外からは分からないようにしたもの、パズルやクイズに正解するともらえるもの、スポーツやゲームの優劣でもらえるもの、また、お中元・年末に商店街やショッピングモール、大手スーパーが実施するもの、一定の地域の小売店などがみんなで実施するものに、金額の上限を設定しています。
○景品の上限金額
上限は商品やサービスの金額によって異なり、あなたが支払った金額が5000円未満ならもらえるものはその20倍の金額まで、5000円以上でも10万円までとなります。
また、ショッピングモールや小売店などがみんなで実施するものは、あなたが支払った金額に関わらず30万円までとなります。それ以外にも想定売上額の2%とか3%までみたいな、景品の総額についてのルールもありますが、これは消費者であるあなたからは見えないので、無視して良いでしょう。
○違法な屋台のくじ引き
行動経済学の分野において、自分を制するというのはどのような賢者にとっても難しいとされています。だから、あなたが景品に惑わされて質の良くないものや割高なものを買ってしまう機会は、往々にしてあるといえます。
すると、商品や・サービスでの競争ではない、非健康的な景品による競争が激化していく可能性があります。景品表示法は景品の上限を規制することで、あなたと事業者を守っています。
ただ、多くの事業者が景品表示法のルールに基づいて景品を用意している中、一部の業種では昔からこれが守られない傾向があります。テキ屋です。
最近、お祭りには参加していませんが300円とか高くとも500円くらいでくじを引き、当たるとは言っていないけれど、最新のゲーム機器が陳列されているのではないでしょうか。箱には触れないので、空箱かどうかは確認できません。
現在、ニンテンドー3DSは約17,000円、Nintendo Switchは約32,000円で販売されています。くじが500円だったとしても20倍は1万円です。これらが景品になっていれば、景品表示法違反の可能性が高い。でも、古き良き文化として見過ごされているのでしょうか。
ぼくはテキ屋で大当たりを当てた人を見たことがないので、絶対当たらないようになっているから上限額を守っていないわけではない、と言われたら何も言い返せないかもしれません。でも、そうすると、実際には当たらない景品を当たるように見せかける行為が問題となるはずです。
○コンプガチャは全面的に禁止されている
景品表示法では、いわゆる「カード合わせ」を全面的に禁止しています。欺瞞性が強く、射幸心をあおる度合いが著しく強いためだそうです。スマホやパソコンなどのオンラインゲームで、有料ガチャをさせ複数のアイテムを揃えると特別なアイテムをくれるのが“カード合わせ”ですが、中毒性があって、意思の弱い方が激しくのめり込んでしまう危険を孕んでいるようです。もし、出くわしても手を出さないのが懸命です。
当たらなくてもいいから、射幸心を煽ってほしい、小さなギャンブルをたのしみたいくらいの気持ちであれば、屋台でくじを買うのは良いのかもしれません。ただ、社会が成熟し、民度が高くなってくると、そういう見過ごされていた文化は廃れていく可能性がある。遊ぶのなら今のうちかもしれません。
○新刊『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』
(総合法令出版/1,404円/税込)さんきゅう倉田の初の著書が発売されました。ぼくの国税局時代の知識と経験、芸人になってからの自己研鑽をこの1冊に詰めました。会社員やパート・アルバイトの方のための最低限の税の情報を、たのしく得られます。購入は コチラ
○新刊『笑う数学』
(KADOKAWA/1,404円/税込/1月27日発売予定)数々の数学イベントで大活躍の、数学エキスパート集団「日本お笑い数学協会」(タカタ先生、横山明日希、さんきゅう倉田、平井基之、秋田崇宏、小林裕人、鰺坂もっちょ)のメンバーが書き下ろした、とっておきの数学の話100を収録。
「数学で愛の告白」「キスするのに最適な身長差を三角比で求める」「アイドルが売れる確率」など、多種多様な数学の話にハマる人、続出中!
○さんきゅう倉田
芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。ツイッターは こちら
2019年3月20日 23時43分 マイナビニュース
元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな税務署の人のジャンパーの色は「オレンジ」です。
人は、毎日素晴らしい商品や素敵なサービスを求めています。しかし、実際よりも良く見せる表示や過大な景品の提供でお客さんを釣り、良くない商品やサービスを買わせようとする業者もいます。そういう業者から、あなたを守るのが“景品表示法”です。
景品表示法では、過大な景品の提供を禁止しています。景品には、物やお金、経済的利益があり、「賞品」や「プレゼント」と呼ばれることもあります。日常生活で関わりのある、いわゆる”懸賞“や“福引き”、”くじ”は景品表示法のルールの中で行われています。
そのルールでは、一部の商品に景品をつけて外からは分からないようにしたもの、パズルやクイズに正解するともらえるもの、スポーツやゲームの優劣でもらえるもの、また、お中元・年末に商店街やショッピングモール、大手スーパーが実施するもの、一定の地域の小売店などがみんなで実施するものに、金額の上限を設定しています。
○景品の上限金額
上限は商品やサービスの金額によって異なり、あなたが支払った金額が5000円未満ならもらえるものはその20倍の金額まで、5000円以上でも10万円までとなります。
また、ショッピングモールや小売店などがみんなで実施するものは、あなたが支払った金額に関わらず30万円までとなります。それ以外にも想定売上額の2%とか3%までみたいな、景品の総額についてのルールもありますが、これは消費者であるあなたからは見えないので、無視して良いでしょう。
○違法な屋台のくじ引き
行動経済学の分野において、自分を制するというのはどのような賢者にとっても難しいとされています。だから、あなたが景品に惑わされて質の良くないものや割高なものを買ってしまう機会は、往々にしてあるといえます。
すると、商品や・サービスでの競争ではない、非健康的な景品による競争が激化していく可能性があります。景品表示法は景品の上限を規制することで、あなたと事業者を守っています。
ただ、多くの事業者が景品表示法のルールに基づいて景品を用意している中、一部の業種では昔からこれが守られない傾向があります。テキ屋です。
最近、お祭りには参加していませんが300円とか高くとも500円くらいでくじを引き、当たるとは言っていないけれど、最新のゲーム機器が陳列されているのではないでしょうか。箱には触れないので、空箱かどうかは確認できません。
現在、ニンテンドー3DSは約17,000円、Nintendo Switchは約32,000円で販売されています。くじが500円だったとしても20倍は1万円です。これらが景品になっていれば、景品表示法違反の可能性が高い。でも、古き良き文化として見過ごされているのでしょうか。
ぼくはテキ屋で大当たりを当てた人を見たことがないので、絶対当たらないようになっているから上限額を守っていないわけではない、と言われたら何も言い返せないかもしれません。でも、そうすると、実際には当たらない景品を当たるように見せかける行為が問題となるはずです。
○コンプガチャは全面的に禁止されている
景品表示法では、いわゆる「カード合わせ」を全面的に禁止しています。欺瞞性が強く、射幸心をあおる度合いが著しく強いためだそうです。スマホやパソコンなどのオンラインゲームで、有料ガチャをさせ複数のアイテムを揃えると特別なアイテムをくれるのが“カード合わせ”ですが、中毒性があって、意思の弱い方が激しくのめり込んでしまう危険を孕んでいるようです。もし、出くわしても手を出さないのが懸命です。
当たらなくてもいいから、射幸心を煽ってほしい、小さなギャンブルをたのしみたいくらいの気持ちであれば、屋台でくじを買うのは良いのかもしれません。ただ、社会が成熟し、民度が高くなってくると、そういう見過ごされていた文化は廃れていく可能性がある。遊ぶのなら今のうちかもしれません。
○新刊『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』
(総合法令出版/1,404円/税込)さんきゅう倉田の初の著書が発売されました。ぼくの国税局時代の知識と経験、芸人になってからの自己研鑽をこの1冊に詰めました。会社員やパート・アルバイトの方のための最低限の税の情報を、たのしく得られます。購入は コチラ
○新刊『笑う数学』
(KADOKAWA/1,404円/税込/1月27日発売予定)数々の数学イベントで大活躍の、数学エキスパート集団「日本お笑い数学協会」(タカタ先生、横山明日希、さんきゅう倉田、平井基之、秋田崇宏、小林裕人、鰺坂もっちょ)のメンバーが書き下ろした、とっておきの数学の話100を収録。
「数学で愛の告白」「キスするのに最適な身長差を三角比で求める」「アイドルが売れる確率」など、多種多様な数学の話にハマる人、続出中!
○さんきゅう倉田
芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。ツイッターは こちら
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2019/03/19 22:11:45
インターネットで養子縁組あっせん事業を行うNPO法人が
大阪市に事業許可申請が不許可となったとのニュース
関西テレビの夕方のニュース
2019/03/19
NPO法人全国おやこ福祉支援センター(大阪市)代表理事の阪口源太
https://www.facebook.com/genta.sakaguchi
フェイスブックを見てると、デジタルドラゴン 創業者という文字があったのに、
なぜか、1時間も経たないうちに、フェイスブックのプロフィール欄から削除されてた。
不思議な削除だった。ちなみに、株式会社ユニットコムという会社がデジタルドラゴンという屋号で中古パソコンの店を経営しているが、
代表取締役にも、販売責任者にも、坂口氏の名前は無い。
https://www.uricom-net.com/company.php
参考URL
時事通信 子どもを救う特別養子 30年目の光と課題
日本は「養子後進国」
貧困や虐待など何らかの事情から、親元で暮らすことができない子どもが全国に約4万6000人いる。乳児院には毎年約3000人が預けられている。
日本では長い間、親がいない子どもや実の親が育てられない子どもは施設へと考えられてきたが、欧米では養子縁組や里親に預けることにより、家庭で育て
られる子どもが大半だ。
日本でも、家庭的な環境で特定の大人から愛情を受けて育つことの大切さは、当然のように認識されてきた。大規模施設から小規模施設へ、そして家庭へ
という流れも徐々にできてきた。
そんな中で注目されつつあるのが、間もなく30年を迎える「特別養子縁組」制度だ。まだよく知られておらず、縁組成立件数は少ないが、2016年末
には「養子縁組あっせん法」も成立した。「特別養子」の可能性を広げる取り組みと課題を報告する。(時事通信社編集委員・三浦直美)
特別養子制度は、1987年の改正民法成立を受け、88年に施行された。養親の実子と同様に戸籍に記載され、実の親との関係は切れる。早くから親子
関係を築くことを重視し、対象の子どもは原則6歳未満とされ、6カ月以上の監護期間と家庭裁判所の審判を経て縁組が決まる。厚生労働省の「特別養子縁
組に関する調査」によると、1歳以下で縁組が成立したケースが過半数を占めている。
外国における養子縁組
よく知られる「普通養子縁組」制度が、子どもの年齢に制限がなく、実の親との親族関係が続き、戸籍には「養子」「養女」と記載されるのとは異なる。
一時的な養育を担う里親制度とは、さらに大きな違いがある。
戸籍上の実子になるため、送り出す実親も受け入れる養親もより強い責任や覚悟を伴い、受け入れ先できょうだいができた場合も同じ実子になることで、
子どもが実態も法律上も「安定」した家庭で育つと期待されるのが、特別養子制度だ。
しかし、2015年の特別養子縁組成立件数は544件。ここ3年ほど増加傾向にあるものの、親元で暮らせない子どもの数を考えれば、非常に少ない。
欧米では年間数千件、数万件単位で成立している。日本はいわば「養子後進国」なのだ。
虐待死防ぐ新生児養子
なぜ特別養子が広がらないのか。新生児の養子縁組事業を行う認定NPO法人フローレンス(東京都)の担当者は「単純に、知られていないと思う」と話す。制度自体の認知度の低さに加え、行政が主体的に関わってこなかったことも大きい。子どもの問題は児童相談所(児相)の担当だが、虐待などの対応で
手いっぱいという実情がある。
また、児童福祉はできる限り親元で暮らせるようサポートするのが基本のため、実親との縁を切る特別養子縁組は積極的に取り組みにくい。実親の同意が
必要で、今は育てられなくても「いつか引き取りたい」などと親権を手放したがらない親が多いことも、児相が縁組に関わる場合の大きなネックになっている。
こうした中で、重要な役割を担ってきたのが民間団体だ。厚労省によると、2015年10月1日現在で、NPOや病院など22の団体が養子縁組あっせん事業の届け出をしている。病児保育やひとり親家庭の支援などに広く取り組んでいるフローレンスもその一つ。予期せぬ妊娠で悩む女性の相談に乗り、安心して出産できるようサポート。自分で育てられないとなれば特別養子縁組という選択肢があることを示し、養子に出すことを決意すれば養親をあっせんする。「施設に入ってから家庭に戻すのはハードルが高く、生まれた時の縁組が大事。出産前から相談に乗ることで、意思確認もスムーズにできる」(担当者)という。早くから特別養子制度を知って熟考し、新生児養子縁組を決断すれば、産まれてから手放したくない思いと、育てられない現実との間で子どもが犠牲になる事態も避けられる。
特別養子縁組の手続き
虐待死を防ぐ意味からも期待される。厚労省によると、虐待で亡くなる子どもの年齢で一番多いのが0歳で、全体の約半数を占める。生後すぐに母親によって命を落とすケースが非常に多いのだ。そうした子どもの出産場所は自宅が大半を占め、医療機関での出産はゼロ。若い母親、未婚の母親が多いなど、望まぬ妊娠を誰にも相談できず追い詰められて…という姿が浮かび上がる。子どもを望む夫婦に生後すぐ引き取られれば、そうした悲劇を防げる可能性が高まる。
あっせん法、国も本腰
特別養子縁組の約4割は民間団体によるあっせんだ。しかし、こうした団体に対して行政による補助があるわけでもなく、基盤のしっかりした組織ばかりではない。児童福祉法で営利目的のあっせんを禁じてはいるが、養子あっせんに関する法的規制はほぼなく、極めて不透明かつ不安定な状況にある。
このためフローレンスと一般社団法人アクロスジャパン(東京都)、同ベビーライフ(同)、NPO法人環の会(同)の4団体が、2016年8月に「日本こども縁組協会」を設立。特別養子縁組の認知拡大や活用推進、質の向上を目指している。
国も遅ればせながら本腰を入れ始めた。昨年改正された児童福祉法には、親元での養育が困難な場合には「家庭と同様の養育環境において継続的に養育されるよう」必要な措置を講ずることと明記。里親委託の推進に加え、養子縁組に関する相談や援助を、児相の業務として明確に位置付けた。
さらに、関係者らが待ち望んだ法律が成立した。民間による適正なあっせん事業を促進する「養子縁組あっせん法」だ。2年以内に施行される。
養子縁組あっせん法の要点
大きな特徴は、あっせん事業がこれまでの届け出制から許可制に変わることと、許可を受けた事業者には行政の補助があることの2点。無許可であっせんを行った場合の罰則も設ける。これにより、悪質な事業者を排除し、健全に特別養子縁組制度の活用が広がることが期待されている。
法成立を受けて同協会が2月に開いたフォーラムでは、厚労省雇用均等・児童家庭局の吉田学局長があいさつに立ち、「現場の人たちの思いの入った大事な法律を、きちんと実務に乗せるよう頑張っていきたい」と述べた。養子縁組の調査に携わったことがある参加者は、「縁組時だけでなく成立後のサポートが非常に大事。許可を受けた団体が事業を継続できるよう、しっかり補助を出してほしい」と要望した。
ネットあっせんで物議
「産んでくれたら最大200万円相当の援助があります」
ある団体がウェブサイトに掲載したフレーズが物議を醸した。この団体は、NPO法人全国おやこ福祉支援センター(大阪市)。14年からインターネットで赤ちゃんをあっせんする事業を行っており、冒頭の言葉は人工妊娠中絶を考える妊婦に対し、養子縁組という「命をつなぐ選択肢」があることを伝える意図で掲載した。16年4月には赤ちゃんと養親をマッチングするアプリの運用も開始している。
当然ながら「人身売買ではないか」と問題視する声が挙がり、大阪市も記載をやめるよう指導。フローレンスの担当者は「養子縁組は妊娠期からしっかりカウンセリングし、出産後に妊婦自身に決めてもらうもの。『200万』と金銭を提示されると縁組への誘導になってしまう。自分で育てたい場合に受けられる支援に関する情報提供など、自己決定を支えるソーシャルワークこそが重要であり、そこが抜け落ちている」と批判する。
米国の養子縁組事情に詳しいアクロスジャパン代表の小川多鶴さんも「米国にはちゃんと規制があるが、日本は何でもあり。最終的に縁組の成否を決めるのは親の質で、条件が良いかどうかではなく子どもにとって良い親かどうかが大事。その見定めはアプリでは絶対無理だ」と強調する。
あっせん法成立に尽力した野田聖子衆議院議員【時事通信社】
大阪市の指導に対し、同センター代表理事の阪口源太氏は「(刺激的な)記載によって多くの人に知ってもらい、それによって命が助かる社会的利益と、人身売買と勘違いされる社会的損失とどちらが大きいのか」と反論。その後も記載を継続している。
この1年で20件ほど養子縁組をしたという。妊婦が登録し、特別養子に出すことを決めてから2週間から1カ月で養親が決まる。養親との面談は、基本的に最終審査と引き渡し時の2回。他の団体が数カ月かけて何度も面談することを考えればかなりのスピードで、この点に懸念を示す関係者も多いが、阪口氏は「養親希望者の半分以上は児相の里親登録をしている。そちらでかなり面接などしているから、重複して回数を増やすことはない」と話す。妊婦への援助は、子どもを引き受ける養親から受け取って賄われる。
もっと知ってほしい
当事者はどう受け止めているのか。「最初に見た時は衝撃的でした」。4月に出産予定で、生まれた子どもを同センター経由で特別養子に出す神奈川県の清水由衣さん(30)=仮名=は、穏やかな表情で振り返る。
清水さんは1年ほどキャバクラで働いている間に妊娠が判明した。かつて結婚していた時に子宝に恵まれず、2年ほどで離婚している。「子どもができないと思っていたから、うれしかった。産もうと思った」という。
だが、子どもの父親は分からず、可能性のある男性とは連絡が途絶えた。貯金もなく、ひとりで育てられるとは思えない。思い悩んでいた妊娠4~5カ月の時、テレビの特集を見て特別養子縁組制度と同センターのことを知った。
ウェブサイトを見て「200万円」の記載に驚いた。「そんな手軽に?」と、良い印象はなかったが、連絡した翌日に大阪から訪ねてきた阪口氏と話して印象が変わった。他の団体にも問い合わせてみたが、対応の速さと、出産までの働けない期間の金銭的支援が決め手となり、同センターに依頼を決めた。
助産師ら5、6人の支援グループとLINEでやりとりし、何かあれば誰かがすぐ答えてくれる。病院やマタニティー服の費用も直ちに口座に振り込まれる。清水さんは「養子に出すことを友達に話しても『無責任だ』『自分で育てれば?』などと言われ、理解してもらえない。グループがなければ完全に引きこもりになっていた。お金の面でもメンタル面でも助けてもらっている」と話す。
清水さんは「あの時テレビを見なかったら、特別養子縁組という選択肢があることを知らなかった。知って良かったし、他の人にも知ってもらいたい」と、取材に応じた理由を語る。それでも「ものすごく後悔した人の話も聞くし、自分でもどうなるかは分からない。産んで4日くらいで考えればいいと言ってくれている。今はとにかく無事に生まれてきてほしい」とほほ笑んだ。
養親に年齢の壁
「この子を迎えたときは夢みたいでした。24時間一緒にいると大変だけど、可愛い」。東京都内在住、50歳代前半の河野凉子さん(仮名)は、ベビーカーの1歳半の息子を優しく見つめながら話す。不妊治療に苦しんだ末、同センター経由で引き取った“我が子”だ。
再婚し、子どもが欲しくて40歳頃に不妊治療を始めた。「確率が低いことは分かっていたけれど、諦め切れなくて」。5年余りトライして断念した。
子どもへの思いは強く、自分が産んだ子でなくても関わって成長を見守りたいと考えるようになり、夫婦で児相に相談。養子縁組を前提としない里親に登録し、研修を受けた。併行して民間の養子あっせん機関にも何カ所か連絡を取ったが「まず年齢で断わられた」。唯一相談に乗ってくれたのが阪口氏だった。
厚労省の里親委託ガイドラインでは、養子縁組を前提とする里親は子どもが成人した時の年齢が65歳以下であることが望ましいとされ、民間団体もこれに準じて年齢制限を設けている所が多い。河野さんは「不安材料は健康状態と生涯年収だと思う。でも金銭的な心配はしなくていい状況だし、2人とも健康。まず大丈夫でしょう」と話す。
実母に迷いが生じたこともあり、子どもを引き取ってから特別養子縁組成立まで1年近くかかった。「不安はありましたが、実母の相談に乗るなどNPOが間を取り持ってくれた」。審判が成立した時、感謝の思いを込めて子どもの写真でアルバムを作り、実母に宛てて送った。その後は連絡を取っていない。
特別養子で戸籍上の実子になっても、DNA検査などで血縁の有無が分かる。その前に子どもがうすうす感じ取るケースも少なくない。普通養子同様、子どもに告げる時期や実親との関係の持ち方で悩む家庭は出てくる。実親との戸籍上の関係を子どもが選択できない制度でもある。
河野さんも「この子に黙っているつもりはないので、養子のことはいずれ話す。出自を知る権利がある。将来、実の母親に会いたいと言えば会わせてあげたい」という。その時に実母とスムーズに連絡が取れるか、それが気掛かりだ。
経済格差の拡大や離婚率の高まりで、親が育てられない子どもが増えた。他方では晩婚化によって子どもを欲しくても恵まれない夫婦が多い。特別養子縁組制度に時代が追い付いてきたとも言える。さらに前述した法制度の整備も後押しになりそうだ。適正な事業者の育成、今後もハードルとして存在する双方の親の葛藤など、課題は残るが、子どもを守るための選択として制度が生かされるよう、多くの関係者が取り組みを広げている。
参考URL
NHK クローズアップ現代
No.38952016年11月21日(月)放送
賛否噴出 ネットで“赤ちゃん”をあっせん!?
ネットで“赤ちゃん”あっせん!? 賛否噴出 現場に密着
インターネットを介した赤ちゃんの養子縁組のあっせんが広がっています。
子どもが欲しいと願う人々の希望になるのか。
営利目的の人身売買にならないのか。
賛否渦巻く現場からの報告です。
赤ちゃんの到着を待つ男性。
インターネットを使って、養子縁組のあっせんを行うNPOの代表です。
妊娠中から相談に乗ってきた女性が、赤ちゃんを連れてくることになっていました。
女性の希望で駅前で会うことになりました。
赤ちゃんを養子として引き取ることになっている40代の夫婦です
赤ちゃんを抱いた女性が現れました。
「お願いします。」
NPO法人 全国おやこ福祉支援センター 阪口源太代表理事
「かわいいですね。
そしたら、だっこさせてあげて。」
「じゃあ、このまま。」
「ああ上手に、だっこしました。」
女性は20代のシングルマザー。
生後1か月の赤ちゃんは2人目の子どもだといいます。
経済的に苦しく、親の介護も抱えているため、育てることを断念しました。
NPO法人 全国おやこ福祉支援センター 阪口源太代表理事
「写真撮っておきますね。
はい、チーズ。」
女性と夫婦が顔を合わせたのは、わずか9分ほど。
女性は泣き続けていました。
NPO法人 全国おやこ福祉支援センター 阪口源太代表理事
「もう大丈夫ですか?はい。
じゃあもう、お車の方にこのまま帰っていただいて大丈夫です。
ありがとうございます。」
あまりにもあっけない別れ。
赤ちゃんは新しい親の養子として生きていくことになります。
2年前から、ネットを活用したあっせんを始めたこのNPO。
代表は、自らも養子を迎えた経験から、今の制度では手続きに時間がかかり過ぎると主張しています。
通常、養子縁組を行うのは、児童相談所や民間のあっせん団体です。
希望する夫婦の収入や年齢などを審査し、面談や研修を行います。
子どもの実の親に対しても、念入りに面談や意向の確認を行った上で子どもが引き渡されます。
このNPOでは、こうした手続きを簡略化しています。
養子縁組を希望する夫婦には、家庭訪問を原則1度行うだけ。
職業や収入などの情報はネットでの登録で済ませます。
子どもの実の親との面談も基本的には1度だけ。
その後のやり取りは、主にネットやSNSで行います。
出産までにかかった生活費などは育てる親から支払われます。
あっせん団体は、営利目的での金銭の授受はできません。
しかし、このNPOは妊娠中の女性に最大200万円援助するとうたっており、人身売買を想起させると批判が出ています。
NPO法人 全国おやこ福祉支援センター 阪口源太代表理事
「タブーじゃないのかという部分を表に出すことで、結局“なんじゃこいつら”みたいな注目を浴びるというかね。
2週間に1人の赤ちゃんが、日本全国どこかで遺棄事件が発生しているような状況、助けられる環境があるって知っていただくだけで、それだけの命を救うことができる。」
このNPOのあっせんにより、設立から2年で15組の養子縁組が成立しています。
子どもを手放す相談を寄せてきた200人近い女性の多くが経済的な事情を抱えているといいます。
その1人、26歳の女性です。
妊娠4か月。
交際相手とは別れています。
1人で育てる経済的な余裕がないと、出産もためらっていました。
ネットで検索して、まず目に入ったのが、このNPOでした。
妊娠中、仕事ができなくても生活費として月20万円支払われると聞き子どもを託すことに同意しました。
実母 26歳 女性
「『いちばん困ることは、これから何ですか?』と聞かれた時に『生活費ですよね』って言ったら『そうなってきますよね』って言って、それから淡々と、お金の話をした。」
女性には、赤ちゃんを託す相手を選ぶ機会も与えられていました。
実母 26歳 女性
「Aさん、世帯年収1,200万。
Bさん、夫の職業、医師。
教育方針、しつけはしっかり、のびのび育てる。
Bさんを選びました。
今はLINEで選ぶんですね。
選択肢もなく『この人です』って言われるよりはよかったかもしれないですね。」
ネットでのあっせんが広がる背景には、個人的な事情をあまり知られたくないという女性たちの存在もあります。
去年(2015年)、赤ちゃんを養子に出した、25歳の女性です。
ほかの民間団体にも相談しましたが、深い関わりを求められないネットでのあっせんを選びました。
実母 25歳 女性
「ほかの団体では、よかれと思って、『本当にいいの?』って聞いて下さってると思うんですけど、煩わしいといえば、煩わしい。
誰にも顔を合わせたくない子とか、隠しておきたいとか、淡白な(NPOの)阪口さんに頼みたくなる若い子が多いのは分かる気はします。」
一方、養子を迎えた夫婦からはNPOの手続きの早さが魅力だったという声も上がっています。
一昨年(2014年)、ネットでのあっせんで女の子を引き取った夫婦です。
9年前に結婚。
養子縁組を希望して、さまざまな民間団体に問い合わせましたが、実現しませんでした。
女の子を引き取った夫婦
「とりあえず面接に来てくださいということで、アポをとって行って、それで登録したんですが、そこだと100人以上待つ。
『5年はかかるよ』という話で。」
諦めかけた夫婦が最後にすがったのが、ネットであっせんしていたNPOでした。
わずか4か月後、生後6日の赤ちゃんを引き取りました。
女の子を引き取った夫婦
「あっという間だから。
何でも今の時代はインターネットで子どももできちゃう、子どもも授かれる。
時代なのかな。」
ネットで“赤ちゃん”あっせん!? 広がる波紋
ゲスト 宋美玄さん(産婦人科医)
ゲスト 宮島清さん(日本社会事業大学准教授)
ネットで赤ちゃんをあっせんする団体については、ホームページに記載されている200万円の表現が不適切だと大阪市から繰り返し行政指導を受けるなど、社会的な批判も高まっています。
一方、200万円についてNPO側は、あくまで必要経費だとしているんです。
宋さんは産婦人科医として、望まぬ妊娠をした女性や、何とか子どもが欲しいと不妊治療をされているご夫婦と何人も向き合っていると思うが、どう見た?
宋さん:日常的に意図しない妊娠のために困った妊婦さんにお会いする機会は多いんですけれども、例えば人工妊娠中絶をするとか、必要なサポートや福祉を受けて自分で産み、育てる。
妊娠、出産ということ自体が、女性の体はリスクを冒すわけですから、自分で育てるという選択肢もあると思うんですけれども、200万円という大金を提示されると、どうしても熟慮の上、選択するという思考能力を奪われてしまうのかなと感じました。
こうした背景には、さまざまな事情で親と一緒に暮らせない赤ちゃんがいる。
そしてさらに、生まれたばかりの赤ちゃんが遺棄をされてしまう事件も相次いでいる実態もあるわけです。
宮島さんは児童相談所にお勤めになって、特に子どもの福祉の観点から、この問題をずっと見られているが、どう見た?
宮島さん:このVTRには出てきませんでしたが、NPO法人が、病院で出産をするということに導いているということだけは評価します。
ただ、今日の映像を見て、本当にこれでいいのかなと思うことが本当にたくさんありました。
まず駅前で、ああいう形で受け渡すというようなことが行われているのは驚きでした。
また、産みのお母さんとの面談が1回だけだということも驚きですけれども、そこでお金の話だけで終わってしまったと。
本当は、たくさんのいろんな思いを持っていらっしゃると思うんですよ。
あんまり深く聞いてもらいたくないという思いも語られていましたけれども、もっともっと複雑なものだというふうに思いますので、これでいいのかなと。
そして、子どもを手放す悲しみと、子どもを迎える喜びが同時に起こる、本当に難しいことなんだなということを改めて感じました。
こうした養子縁組が営利目的で行われないかという心配が、すでに現実のものとなったケースも実際にあります。
先ほどの大阪のNPOを参考にしたという千葉県内のNPO団体が全国で初めて、事業停止命令を受けました。
ネットで“赤ちゃん”あっせん!? 深刻なトラブルも…
「民間養子縁組あっせん事業者『赤ちゃんの未来を救う会』に対し、事業の停止命令の処分を行った。」
9月、全国で初めて、養子縁組のあっせんを行っている団体に対して、事業停止命令が出されました。
処分を受けた団体の理事を務めていた男性がNHKの取材に応じました。
『赤ちゃんの未来を救う会』(廃止) 元理事の男性
「どうも現役パチプロ清志です。」
パチンコ必勝法の教材などを手がけてきたという男性。
インターネットで養子縁組のあっせんを行うNPOがあると知り、自らも事業に乗り出しました。
『赤ちゃんの未来を救う会』(廃止) 元理事の男性
「育て(の親)はゴロゴロ来ますよ。
何人でも、何百人でもいけます。」
処分を受けた理由は営利目的とも疑われる、あっせんを行ったことでした。
団体は、養子縁組を望む夫婦に対し、100万円を払えば優先的にあっせんすると持ちかけ、金を受け取っていました。
さらに、赤ちゃんを引き取る際に、母親の意向を十分に確認しておらず、トラブルになったとされています。
団体は、すでに事業を廃止しています。
『赤ちゃんの未来を救う会』(廃止) 元理事の男性
「そもそも福祉の仕事は、俺の仕事じゃない。
マッチングしてお金もらうのが基本かな。」
ネット“赤ちゃん”あっせん!? 広がる波紋
本来、養子縁組の際、出産費用などの必要経費を請求することはかまわないのですが、この千葉の団体は、養子縁組希望者に金品を支払わせることによって、優先的にあっせんを行ったなどによって、事業停止命令を受けたわけです。
加えて、そもそも養子縁組のあっせん団体に関しては、届け出さえすれば、いわば誰でも事業に参入できるというのが実態なんです。
宮島さん:形式が整っていれば、届け出をすれば始められるというのが実態です。
ルールがないというのが、今の状態ですね。
これではいけない、きちんとルールを作る、しかも強制力を持つものでなければならない、そのためには法整備をして、適切でない方には入ってきてもらっては困る。
また、出ていってもらわなければならない、そういう仕組みにすべきだと思います。
急がれますね。
しんしに取り組んでいる民間団体もいるということは忘れないでほしいです。
実際のところ、民間団体のあっせん事業者に相談件数がどれだけあるのか。
「育てたい」と希望する人からの相談が2,506件。
「養子に出したい」という人の相談が1,898件。
それぞれある中で去年1年間で見ますと、特別養子縁組が成立したのは544件。
少しずつ増えてはいるんですけれども、544件にとどまっているというのが現実です。
視聴者の方より:「本来ならば、行政が機能すべき」
なぜ、なかなかこうした養子縁組が進まないのか。
ネットを使って赤ちゃんをあっせんしている大阪のNPOを利用した夫婦に、今回その心のうちを実情を取材しました。
ネットで“赤ちゃん”あっせん!? 子を望む夫婦の苦悩
なぜ、子どもを求める夫婦はNPOを頼るのか。
この夫婦はNPOを通じ、まもなく生まれる女の子をあっせんされることになっていました。
養親希望者 30代夫婦
「お顔が見えて、お手々が見えて。
へその緒、握ってるらしいんです。
かわいい。」
子宮にがんが見つかり、妊娠を断念した妻。
夫婦は当初、行政による養子縁組を希望していました。
まず訪ねたのは、近くの児童相談所でした。
養親希望者 30代夫婦
「やはり安全というか、行政を通しているので、安心があるだろうということで。」
実習や面談を受け、養子縁組を希望する里親として認定を受けた夫婦。
そこまでに半年かかりました。
しかし、その後も子どもを引き取ることはできませんでした。
東京都では、常時200組前後の夫婦が養子縁組を待っています。
一方で、養子縁組に至る子どもの数は、年間20〜30人です。
児童相談所では、実の親の意思の確認や、育てる側の適格性の判断に時間をかけざるを得ません。
しかし、待つ側は不満を募らせてしまうのです。
養親希望者 30代夫婦
「ずっと続けているとだんだん、つらくなってくる部分があって、児童相談所の一本でいっていたら、下手すると一生かかっても迎えられない。」
ネットで“赤ちゃん”あっせん!? 子どもの幸せは?
何とか子どもをという親御さんのお気持ちも分かるが?
宋さん:最近、ようやく知られるようになってきましたけれども、妊娠できる年齢というのは、ある程度、限りがあるということだったりを知る機会がなかったりですとか、例えば食事とか、体を温めたりとかということで妊娠できるんじゃないかといって、時間を費やしたりして、必要な生殖医療にアクセスする年齢が遅れてしまうというのが日本の問題なんです。
やっぱり40歳ぐらいで養子縁組の条件を切っている所とかもあって、40歳というと、ちょうど自分の子どもを授かりたいと頑張っている年齢で、なかなか踏み切れないというのもあって、気付けばそういう養子の選択肢が狭まっているという現実があると思うんです。
そこへ、こういう利便性を強調した団体というのがあると、本来は妊娠した女性と子どもというのを主眼にどういうサポートをすべきかを考えるべきであるにもかかわらず、そういう利便性が求められているという背景がどうしてもあると思います。
利便性、効率性というのは、大人側の問題 客観的に考えた時に赤ちゃんの立場から、この問題を見ると、やっぱり大切にしなければならないことがあるのではないかと考えてしまうが?
宮島さん:赤ちゃんは自分では行動できない、何かあっても逃げ出すこともできない、とにかく託されるということで身を任せるしかないわけですから、子どもにとって本当に100%の安全を求めなきゃいけない。
とにかく、3つ安全というのを載せているのは、子どもにとって繰り返し言わなければならないものだと思います。
ただ、この3つ安全というのは、子どものためだけではなくて、託すお母さんにとっても安全でなければならない。
また、託される養子縁組の希望者にとっても安全でなければならない。
3つの安全が必要だというふうに思います。
児童相談所に何とか期待をかける声も多いが、児童相談所が今できることは?
宮島さん:先ほどの方も、行政なら安全ではないか、安心ではないか、これに応えなければいけません。
児童相談所も、もっともっと活発に養子縁組のことをしなければならないと思いますが、ただ、それに応じるためには、やはり人とお金がなければできないんです。
責任だけ負わせて、きちんとやれ、それではブラック企業と同じですので、きちんとそれを児童相談所が担えるような態勢を整備することが不可欠だと思います。
まさにそうした中、児童相談所も養子縁組にできるだけ積極的に関わっていこうという取り組みが始まっています。
養子縁組 新たな取り組み
福岡県で開かれた養子縁組に関する勉強会です。
「赤ちゃん縁組は、妊娠中から相談に乗る。」
妊娠中から女性の相談に乗り、出産後すぐに養子縁組につながる「赤ちゃん縁組」を広げようとしています。
児童相談所 職員
「子どもにとっては必要。」
児童相談所 職員
「一日でも早く、家庭的な環境を与えてあげる方が、子どもにとっては愛着ということを考えるといいのかなと。」
ネットで“赤ちゃん”あっせん!? 広がる波紋
「赤ちゃん縁組」とは、妊娠中から児童相談所が積極的に関わって、生まれた赤ちゃんを速やかに養子縁組、里親につなげようという仕組み 宮島さんは、さらにどうすれば、これがよりよい仕組みになると考える?
宮島さん:この取り組みは非常に先駆的な、注目されている取り組みだと思います。
ただ、少し課題もあると思っています。
この方々が取り組んでいるやり方としては、とにかく家庭を確保するという面では優れているんですが、産んですぐに、分娩台の上から赤ちゃんを養子縁組希望者の方に託すというようなことが推奨されていたり、また、産みの親ではなくて、養子縁組になる方がほとんど、名付け親になるというようなことについては私は疑問を感じています。
この辺は議論があるところで、この辺のことをきちんとまた整理した新しい取り組みも始まっていますので、そのような働きも広がってほしいと願っています。
実は、今年(2016年)5月に児童福祉法が改正され、そこには、子どもをより家庭的な環境の中で育てていこうという方向性が定められました。
そうした中で、改めて、これから養子縁組などを考える上で忘れてはならないことは?
宋さん:まず、なぜ女性が自分の子どもを養子に出さないといけないか。
今回のケースですと、予期せぬ妊娠をしてしまったということが問題になるので、今、女性が日本で避妊にアクセスするのがすごく難しい、ピルも普及しない、緊急ピルはすごく高い、コンドームは男性任せでやるという問題があるので、まずバースコントロールの知識とアクセス、そこがまず議論を始めにしてほしいことだと思います。
それと、養子縁組というのは、自分で産んだ子どもを育てられるというサポートをさんざん考えた上で、それでも無理だという場合の最終手段として扱っていただきたいというふうに思います。
宮島さん:私は「重み」と「おそれ」と書きました。
子どもが家庭を失うということは大変なことです。
一方でまた、子どもが家庭を得るということも大変なことです。
この大変なことにふさわしい関わり、この「重み」のあることを「重み」のあることとしてやるべきだというふうに思います。
これは「おそれ」が必要なことじゃないでしょうか。
(「おそれ」というところには、すごく深い、いろんな意味がありますよね。)
子ども、命、また人生、生活、このすべてが関わる。
産みの親の、また育ての親の人生が関わっているんだと、そのことの「重み」、それにふさわしい対応が必要だと思います。
その時々の子どもを育てたい、赤ちゃんの希望がマッチすることが目的では決してなくて、ずっと共に歩んでいけるような。
宮島さん:そうですね。
伴走型支援が必要だと思います。
また今後も引き続き、この問題は考えていかなくてはなりません。
民間のあっせん団体は、誰でも参入できると聞いて驚きです。
特別養子縁組に関しては、児童相談所と民間のあっせん団体が関わっていますが、 民間のあっせん団体に関しては「届け出」を出せば活動を認められているのが現状で す。厚生労働省によると、今、全国では22の民間あっせん団体が活動しており、 そのほとんどが望まない妊娠に悩む女性たち、 保護を必要とする子どもたちのために懸命に活動しています。 しかし、全国で初めての事業停止命令を受けた 千葉県の団体のように問題となるケースが出ているのも現実。 現在、あっせん団体設立を「許可制」にする法律の整備を急ぐべきだ という議論が進んでいます。
本来なら行政が機能することがのぞましいのでは?
行政で養子縁組を行う児童相談所の職員は虐待の対応に追われがちであったり、そ も そも人員や予算に限りがあり、今の膨大な養子縁組のニーズに対応するにも限界があ ると言われています。しかし、その一方で、児童相談所の中では養子縁組により積極 的に関わっていこうという取り組みも始まっています。妊娠中の女性の相談にのり、 生まれた赤ちゃんを速やかに養子縁組につなげる「赤ちゃん縁組」と呼ばれる取り組 みが広がっています。ゲストの日本社会事業大学の宮島准教授は今後は「児童相談所 への人員や予算の対応が必要だ」と指摘していました。
大阪市に事業許可申請が不許可となったとのニュース
関西テレビの夕方のニュース
2019/03/19
NPO法人全国おやこ福祉支援センター(大阪市)代表理事の阪口源太
https://www.facebook.com/genta.sakaguchi
フェイスブックを見てると、デジタルドラゴン 創業者という文字があったのに、
なぜか、1時間も経たないうちに、フェイスブックのプロフィール欄から削除されてた。
不思議な削除だった。ちなみに、株式会社ユニットコムという会社がデジタルドラゴンという屋号で中古パソコンの店を経営しているが、
代表取締役にも、販売責任者にも、坂口氏の名前は無い。
https://www.uricom-net.com/company.php
参考URL
時事通信 子どもを救う特別養子 30年目の光と課題
日本は「養子後進国」
貧困や虐待など何らかの事情から、親元で暮らすことができない子どもが全国に約4万6000人いる。乳児院には毎年約3000人が預けられている。
日本では長い間、親がいない子どもや実の親が育てられない子どもは施設へと考えられてきたが、欧米では養子縁組や里親に預けることにより、家庭で育て
られる子どもが大半だ。
日本でも、家庭的な環境で特定の大人から愛情を受けて育つことの大切さは、当然のように認識されてきた。大規模施設から小規模施設へ、そして家庭へ
という流れも徐々にできてきた。
そんな中で注目されつつあるのが、間もなく30年を迎える「特別養子縁組」制度だ。まだよく知られておらず、縁組成立件数は少ないが、2016年末
には「養子縁組あっせん法」も成立した。「特別養子」の可能性を広げる取り組みと課題を報告する。(時事通信社編集委員・三浦直美)
特別養子制度は、1987年の改正民法成立を受け、88年に施行された。養親の実子と同様に戸籍に記載され、実の親との関係は切れる。早くから親子
関係を築くことを重視し、対象の子どもは原則6歳未満とされ、6カ月以上の監護期間と家庭裁判所の審判を経て縁組が決まる。厚生労働省の「特別養子縁
組に関する調査」によると、1歳以下で縁組が成立したケースが過半数を占めている。
外国における養子縁組
よく知られる「普通養子縁組」制度が、子どもの年齢に制限がなく、実の親との親族関係が続き、戸籍には「養子」「養女」と記載されるのとは異なる。
一時的な養育を担う里親制度とは、さらに大きな違いがある。
戸籍上の実子になるため、送り出す実親も受け入れる養親もより強い責任や覚悟を伴い、受け入れ先できょうだいができた場合も同じ実子になることで、
子どもが実態も法律上も「安定」した家庭で育つと期待されるのが、特別養子制度だ。
しかし、2015年の特別養子縁組成立件数は544件。ここ3年ほど増加傾向にあるものの、親元で暮らせない子どもの数を考えれば、非常に少ない。
欧米では年間数千件、数万件単位で成立している。日本はいわば「養子後進国」なのだ。
虐待死防ぐ新生児養子
なぜ特別養子が広がらないのか。新生児の養子縁組事業を行う認定NPO法人フローレンス(東京都)の担当者は「単純に、知られていないと思う」と話す。制度自体の認知度の低さに加え、行政が主体的に関わってこなかったことも大きい。子どもの問題は児童相談所(児相)の担当だが、虐待などの対応で
手いっぱいという実情がある。
また、児童福祉はできる限り親元で暮らせるようサポートするのが基本のため、実親との縁を切る特別養子縁組は積極的に取り組みにくい。実親の同意が
必要で、今は育てられなくても「いつか引き取りたい」などと親権を手放したがらない親が多いことも、児相が縁組に関わる場合の大きなネックになっている。
こうした中で、重要な役割を担ってきたのが民間団体だ。厚労省によると、2015年10月1日現在で、NPOや病院など22の団体が養子縁組あっせん事業の届け出をしている。病児保育やひとり親家庭の支援などに広く取り組んでいるフローレンスもその一つ。予期せぬ妊娠で悩む女性の相談に乗り、安心して出産できるようサポート。自分で育てられないとなれば特別養子縁組という選択肢があることを示し、養子に出すことを決意すれば養親をあっせんする。「施設に入ってから家庭に戻すのはハードルが高く、生まれた時の縁組が大事。出産前から相談に乗ることで、意思確認もスムーズにできる」(担当者)という。早くから特別養子制度を知って熟考し、新生児養子縁組を決断すれば、産まれてから手放したくない思いと、育てられない現実との間で子どもが犠牲になる事態も避けられる。
特別養子縁組の手続き
虐待死を防ぐ意味からも期待される。厚労省によると、虐待で亡くなる子どもの年齢で一番多いのが0歳で、全体の約半数を占める。生後すぐに母親によって命を落とすケースが非常に多いのだ。そうした子どもの出産場所は自宅が大半を占め、医療機関での出産はゼロ。若い母親、未婚の母親が多いなど、望まぬ妊娠を誰にも相談できず追い詰められて…という姿が浮かび上がる。子どもを望む夫婦に生後すぐ引き取られれば、そうした悲劇を防げる可能性が高まる。
あっせん法、国も本腰
特別養子縁組の約4割は民間団体によるあっせんだ。しかし、こうした団体に対して行政による補助があるわけでもなく、基盤のしっかりした組織ばかりではない。児童福祉法で営利目的のあっせんを禁じてはいるが、養子あっせんに関する法的規制はほぼなく、極めて不透明かつ不安定な状況にある。
このためフローレンスと一般社団法人アクロスジャパン(東京都)、同ベビーライフ(同)、NPO法人環の会(同)の4団体が、2016年8月に「日本こども縁組協会」を設立。特別養子縁組の認知拡大や活用推進、質の向上を目指している。
国も遅ればせながら本腰を入れ始めた。昨年改正された児童福祉法には、親元での養育が困難な場合には「家庭と同様の養育環境において継続的に養育されるよう」必要な措置を講ずることと明記。里親委託の推進に加え、養子縁組に関する相談や援助を、児相の業務として明確に位置付けた。
さらに、関係者らが待ち望んだ法律が成立した。民間による適正なあっせん事業を促進する「養子縁組あっせん法」だ。2年以内に施行される。
養子縁組あっせん法の要点
大きな特徴は、あっせん事業がこれまでの届け出制から許可制に変わることと、許可を受けた事業者には行政の補助があることの2点。無許可であっせんを行った場合の罰則も設ける。これにより、悪質な事業者を排除し、健全に特別養子縁組制度の活用が広がることが期待されている。
法成立を受けて同協会が2月に開いたフォーラムでは、厚労省雇用均等・児童家庭局の吉田学局長があいさつに立ち、「現場の人たちの思いの入った大事な法律を、きちんと実務に乗せるよう頑張っていきたい」と述べた。養子縁組の調査に携わったことがある参加者は、「縁組時だけでなく成立後のサポートが非常に大事。許可を受けた団体が事業を継続できるよう、しっかり補助を出してほしい」と要望した。
ネットあっせんで物議
「産んでくれたら最大200万円相当の援助があります」
ある団体がウェブサイトに掲載したフレーズが物議を醸した。この団体は、NPO法人全国おやこ福祉支援センター(大阪市)。14年からインターネットで赤ちゃんをあっせんする事業を行っており、冒頭の言葉は人工妊娠中絶を考える妊婦に対し、養子縁組という「命をつなぐ選択肢」があることを伝える意図で掲載した。16年4月には赤ちゃんと養親をマッチングするアプリの運用も開始している。
当然ながら「人身売買ではないか」と問題視する声が挙がり、大阪市も記載をやめるよう指導。フローレンスの担当者は「養子縁組は妊娠期からしっかりカウンセリングし、出産後に妊婦自身に決めてもらうもの。『200万』と金銭を提示されると縁組への誘導になってしまう。自分で育てたい場合に受けられる支援に関する情報提供など、自己決定を支えるソーシャルワークこそが重要であり、そこが抜け落ちている」と批判する。
米国の養子縁組事情に詳しいアクロスジャパン代表の小川多鶴さんも「米国にはちゃんと規制があるが、日本は何でもあり。最終的に縁組の成否を決めるのは親の質で、条件が良いかどうかではなく子どもにとって良い親かどうかが大事。その見定めはアプリでは絶対無理だ」と強調する。
あっせん法成立に尽力した野田聖子衆議院議員【時事通信社】
大阪市の指導に対し、同センター代表理事の阪口源太氏は「(刺激的な)記載によって多くの人に知ってもらい、それによって命が助かる社会的利益と、人身売買と勘違いされる社会的損失とどちらが大きいのか」と反論。その後も記載を継続している。
この1年で20件ほど養子縁組をしたという。妊婦が登録し、特別養子に出すことを決めてから2週間から1カ月で養親が決まる。養親との面談は、基本的に最終審査と引き渡し時の2回。他の団体が数カ月かけて何度も面談することを考えればかなりのスピードで、この点に懸念を示す関係者も多いが、阪口氏は「養親希望者の半分以上は児相の里親登録をしている。そちらでかなり面接などしているから、重複して回数を増やすことはない」と話す。妊婦への援助は、子どもを引き受ける養親から受け取って賄われる。
もっと知ってほしい
当事者はどう受け止めているのか。「最初に見た時は衝撃的でした」。4月に出産予定で、生まれた子どもを同センター経由で特別養子に出す神奈川県の清水由衣さん(30)=仮名=は、穏やかな表情で振り返る。
清水さんは1年ほどキャバクラで働いている間に妊娠が判明した。かつて結婚していた時に子宝に恵まれず、2年ほどで離婚している。「子どもができないと思っていたから、うれしかった。産もうと思った」という。
だが、子どもの父親は分からず、可能性のある男性とは連絡が途絶えた。貯金もなく、ひとりで育てられるとは思えない。思い悩んでいた妊娠4~5カ月の時、テレビの特集を見て特別養子縁組制度と同センターのことを知った。
ウェブサイトを見て「200万円」の記載に驚いた。「そんな手軽に?」と、良い印象はなかったが、連絡した翌日に大阪から訪ねてきた阪口氏と話して印象が変わった。他の団体にも問い合わせてみたが、対応の速さと、出産までの働けない期間の金銭的支援が決め手となり、同センターに依頼を決めた。
助産師ら5、6人の支援グループとLINEでやりとりし、何かあれば誰かがすぐ答えてくれる。病院やマタニティー服の費用も直ちに口座に振り込まれる。清水さんは「養子に出すことを友達に話しても『無責任だ』『自分で育てれば?』などと言われ、理解してもらえない。グループがなければ完全に引きこもりになっていた。お金の面でもメンタル面でも助けてもらっている」と話す。
清水さんは「あの時テレビを見なかったら、特別養子縁組という選択肢があることを知らなかった。知って良かったし、他の人にも知ってもらいたい」と、取材に応じた理由を語る。それでも「ものすごく後悔した人の話も聞くし、自分でもどうなるかは分からない。産んで4日くらいで考えればいいと言ってくれている。今はとにかく無事に生まれてきてほしい」とほほ笑んだ。
養親に年齢の壁
「この子を迎えたときは夢みたいでした。24時間一緒にいると大変だけど、可愛い」。東京都内在住、50歳代前半の河野凉子さん(仮名)は、ベビーカーの1歳半の息子を優しく見つめながら話す。不妊治療に苦しんだ末、同センター経由で引き取った“我が子”だ。
再婚し、子どもが欲しくて40歳頃に不妊治療を始めた。「確率が低いことは分かっていたけれど、諦め切れなくて」。5年余りトライして断念した。
子どもへの思いは強く、自分が産んだ子でなくても関わって成長を見守りたいと考えるようになり、夫婦で児相に相談。養子縁組を前提としない里親に登録し、研修を受けた。併行して民間の養子あっせん機関にも何カ所か連絡を取ったが「まず年齢で断わられた」。唯一相談に乗ってくれたのが阪口氏だった。
厚労省の里親委託ガイドラインでは、養子縁組を前提とする里親は子どもが成人した時の年齢が65歳以下であることが望ましいとされ、民間団体もこれに準じて年齢制限を設けている所が多い。河野さんは「不安材料は健康状態と生涯年収だと思う。でも金銭的な心配はしなくていい状況だし、2人とも健康。まず大丈夫でしょう」と話す。
実母に迷いが生じたこともあり、子どもを引き取ってから特別養子縁組成立まで1年近くかかった。「不安はありましたが、実母の相談に乗るなどNPOが間を取り持ってくれた」。審判が成立した時、感謝の思いを込めて子どもの写真でアルバムを作り、実母に宛てて送った。その後は連絡を取っていない。
特別養子で戸籍上の実子になっても、DNA検査などで血縁の有無が分かる。その前に子どもがうすうす感じ取るケースも少なくない。普通養子同様、子どもに告げる時期や実親との関係の持ち方で悩む家庭は出てくる。実親との戸籍上の関係を子どもが選択できない制度でもある。
河野さんも「この子に黙っているつもりはないので、養子のことはいずれ話す。出自を知る権利がある。将来、実の母親に会いたいと言えば会わせてあげたい」という。その時に実母とスムーズに連絡が取れるか、それが気掛かりだ。
経済格差の拡大や離婚率の高まりで、親が育てられない子どもが増えた。他方では晩婚化によって子どもを欲しくても恵まれない夫婦が多い。特別養子縁組制度に時代が追い付いてきたとも言える。さらに前述した法制度の整備も後押しになりそうだ。適正な事業者の育成、今後もハードルとして存在する双方の親の葛藤など、課題は残るが、子どもを守るための選択として制度が生かされるよう、多くの関係者が取り組みを広げている。
参考URL
NHK クローズアップ現代
No.38952016年11月21日(月)放送
賛否噴出 ネットで“赤ちゃん”をあっせん!?
ネットで“赤ちゃん”あっせん!? 賛否噴出 現場に密着
インターネットを介した赤ちゃんの養子縁組のあっせんが広がっています。
子どもが欲しいと願う人々の希望になるのか。
営利目的の人身売買にならないのか。
賛否渦巻く現場からの報告です。
赤ちゃんの到着を待つ男性。
インターネットを使って、養子縁組のあっせんを行うNPOの代表です。
妊娠中から相談に乗ってきた女性が、赤ちゃんを連れてくることになっていました。
女性の希望で駅前で会うことになりました。
赤ちゃんを養子として引き取ることになっている40代の夫婦です
赤ちゃんを抱いた女性が現れました。
「お願いします。」
NPO法人 全国おやこ福祉支援センター 阪口源太代表理事
「かわいいですね。
そしたら、だっこさせてあげて。」
「じゃあ、このまま。」
「ああ上手に、だっこしました。」
女性は20代のシングルマザー。
生後1か月の赤ちゃんは2人目の子どもだといいます。
経済的に苦しく、親の介護も抱えているため、育てることを断念しました。
NPO法人 全国おやこ福祉支援センター 阪口源太代表理事
「写真撮っておきますね。
はい、チーズ。」
女性と夫婦が顔を合わせたのは、わずか9分ほど。
女性は泣き続けていました。
NPO法人 全国おやこ福祉支援センター 阪口源太代表理事
「もう大丈夫ですか?はい。
じゃあもう、お車の方にこのまま帰っていただいて大丈夫です。
ありがとうございます。」
あまりにもあっけない別れ。
赤ちゃんは新しい親の養子として生きていくことになります。
2年前から、ネットを活用したあっせんを始めたこのNPO。
代表は、自らも養子を迎えた経験から、今の制度では手続きに時間がかかり過ぎると主張しています。
通常、養子縁組を行うのは、児童相談所や民間のあっせん団体です。
希望する夫婦の収入や年齢などを審査し、面談や研修を行います。
子どもの実の親に対しても、念入りに面談や意向の確認を行った上で子どもが引き渡されます。
このNPOでは、こうした手続きを簡略化しています。
養子縁組を希望する夫婦には、家庭訪問を原則1度行うだけ。
職業や収入などの情報はネットでの登録で済ませます。
子どもの実の親との面談も基本的には1度だけ。
その後のやり取りは、主にネットやSNSで行います。
出産までにかかった生活費などは育てる親から支払われます。
あっせん団体は、営利目的での金銭の授受はできません。
しかし、このNPOは妊娠中の女性に最大200万円援助するとうたっており、人身売買を想起させると批判が出ています。
NPO法人 全国おやこ福祉支援センター 阪口源太代表理事
「タブーじゃないのかという部分を表に出すことで、結局“なんじゃこいつら”みたいな注目を浴びるというかね。
2週間に1人の赤ちゃんが、日本全国どこかで遺棄事件が発生しているような状況、助けられる環境があるって知っていただくだけで、それだけの命を救うことができる。」
このNPOのあっせんにより、設立から2年で15組の養子縁組が成立しています。
子どもを手放す相談を寄せてきた200人近い女性の多くが経済的な事情を抱えているといいます。
その1人、26歳の女性です。
妊娠4か月。
交際相手とは別れています。
1人で育てる経済的な余裕がないと、出産もためらっていました。
ネットで検索して、まず目に入ったのが、このNPOでした。
妊娠中、仕事ができなくても生活費として月20万円支払われると聞き子どもを託すことに同意しました。
実母 26歳 女性
「『いちばん困ることは、これから何ですか?』と聞かれた時に『生活費ですよね』って言ったら『そうなってきますよね』って言って、それから淡々と、お金の話をした。」
女性には、赤ちゃんを託す相手を選ぶ機会も与えられていました。
実母 26歳 女性
「Aさん、世帯年収1,200万。
Bさん、夫の職業、医師。
教育方針、しつけはしっかり、のびのび育てる。
Bさんを選びました。
今はLINEで選ぶんですね。
選択肢もなく『この人です』って言われるよりはよかったかもしれないですね。」
ネットでのあっせんが広がる背景には、個人的な事情をあまり知られたくないという女性たちの存在もあります。
去年(2015年)、赤ちゃんを養子に出した、25歳の女性です。
ほかの民間団体にも相談しましたが、深い関わりを求められないネットでのあっせんを選びました。
実母 25歳 女性
「ほかの団体では、よかれと思って、『本当にいいの?』って聞いて下さってると思うんですけど、煩わしいといえば、煩わしい。
誰にも顔を合わせたくない子とか、隠しておきたいとか、淡白な(NPOの)阪口さんに頼みたくなる若い子が多いのは分かる気はします。」
一方、養子を迎えた夫婦からはNPOの手続きの早さが魅力だったという声も上がっています。
一昨年(2014年)、ネットでのあっせんで女の子を引き取った夫婦です。
9年前に結婚。
養子縁組を希望して、さまざまな民間団体に問い合わせましたが、実現しませんでした。
女の子を引き取った夫婦
「とりあえず面接に来てくださいということで、アポをとって行って、それで登録したんですが、そこだと100人以上待つ。
『5年はかかるよ』という話で。」
諦めかけた夫婦が最後にすがったのが、ネットであっせんしていたNPOでした。
わずか4か月後、生後6日の赤ちゃんを引き取りました。
女の子を引き取った夫婦
「あっという間だから。
何でも今の時代はインターネットで子どももできちゃう、子どもも授かれる。
時代なのかな。」
ネットで“赤ちゃん”あっせん!? 広がる波紋
ゲスト 宋美玄さん(産婦人科医)
ゲスト 宮島清さん(日本社会事業大学准教授)
ネットで赤ちゃんをあっせんする団体については、ホームページに記載されている200万円の表現が不適切だと大阪市から繰り返し行政指導を受けるなど、社会的な批判も高まっています。
一方、200万円についてNPO側は、あくまで必要経費だとしているんです。
宋さんは産婦人科医として、望まぬ妊娠をした女性や、何とか子どもが欲しいと不妊治療をされているご夫婦と何人も向き合っていると思うが、どう見た?
宋さん:日常的に意図しない妊娠のために困った妊婦さんにお会いする機会は多いんですけれども、例えば人工妊娠中絶をするとか、必要なサポートや福祉を受けて自分で産み、育てる。
妊娠、出産ということ自体が、女性の体はリスクを冒すわけですから、自分で育てるという選択肢もあると思うんですけれども、200万円という大金を提示されると、どうしても熟慮の上、選択するという思考能力を奪われてしまうのかなと感じました。
こうした背景には、さまざまな事情で親と一緒に暮らせない赤ちゃんがいる。
そしてさらに、生まれたばかりの赤ちゃんが遺棄をされてしまう事件も相次いでいる実態もあるわけです。
宮島さんは児童相談所にお勤めになって、特に子どもの福祉の観点から、この問題をずっと見られているが、どう見た?
宮島さん:このVTRには出てきませんでしたが、NPO法人が、病院で出産をするということに導いているということだけは評価します。
ただ、今日の映像を見て、本当にこれでいいのかなと思うことが本当にたくさんありました。
まず駅前で、ああいう形で受け渡すというようなことが行われているのは驚きでした。
また、産みのお母さんとの面談が1回だけだということも驚きですけれども、そこでお金の話だけで終わってしまったと。
本当は、たくさんのいろんな思いを持っていらっしゃると思うんですよ。
あんまり深く聞いてもらいたくないという思いも語られていましたけれども、もっともっと複雑なものだというふうに思いますので、これでいいのかなと。
そして、子どもを手放す悲しみと、子どもを迎える喜びが同時に起こる、本当に難しいことなんだなということを改めて感じました。
こうした養子縁組が営利目的で行われないかという心配が、すでに現実のものとなったケースも実際にあります。
先ほどの大阪のNPOを参考にしたという千葉県内のNPO団体が全国で初めて、事業停止命令を受けました。
ネットで“赤ちゃん”あっせん!? 深刻なトラブルも…
「民間養子縁組あっせん事業者『赤ちゃんの未来を救う会』に対し、事業の停止命令の処分を行った。」
9月、全国で初めて、養子縁組のあっせんを行っている団体に対して、事業停止命令が出されました。
処分を受けた団体の理事を務めていた男性がNHKの取材に応じました。
『赤ちゃんの未来を救う会』(廃止) 元理事の男性
「どうも現役パチプロ清志です。」
パチンコ必勝法の教材などを手がけてきたという男性。
インターネットで養子縁組のあっせんを行うNPOがあると知り、自らも事業に乗り出しました。
『赤ちゃんの未来を救う会』(廃止) 元理事の男性
「育て(の親)はゴロゴロ来ますよ。
何人でも、何百人でもいけます。」
処分を受けた理由は営利目的とも疑われる、あっせんを行ったことでした。
団体は、養子縁組を望む夫婦に対し、100万円を払えば優先的にあっせんすると持ちかけ、金を受け取っていました。
さらに、赤ちゃんを引き取る際に、母親の意向を十分に確認しておらず、トラブルになったとされています。
団体は、すでに事業を廃止しています。
『赤ちゃんの未来を救う会』(廃止) 元理事の男性
「そもそも福祉の仕事は、俺の仕事じゃない。
マッチングしてお金もらうのが基本かな。」
ネット“赤ちゃん”あっせん!? 広がる波紋
本来、養子縁組の際、出産費用などの必要経費を請求することはかまわないのですが、この千葉の団体は、養子縁組希望者に金品を支払わせることによって、優先的にあっせんを行ったなどによって、事業停止命令を受けたわけです。
加えて、そもそも養子縁組のあっせん団体に関しては、届け出さえすれば、いわば誰でも事業に参入できるというのが実態なんです。
宮島さん:形式が整っていれば、届け出をすれば始められるというのが実態です。
ルールがないというのが、今の状態ですね。
これではいけない、きちんとルールを作る、しかも強制力を持つものでなければならない、そのためには法整備をして、適切でない方には入ってきてもらっては困る。
また、出ていってもらわなければならない、そういう仕組みにすべきだと思います。
急がれますね。
しんしに取り組んでいる民間団体もいるということは忘れないでほしいです。
実際のところ、民間団体のあっせん事業者に相談件数がどれだけあるのか。
「育てたい」と希望する人からの相談が2,506件。
「養子に出したい」という人の相談が1,898件。
それぞれある中で去年1年間で見ますと、特別養子縁組が成立したのは544件。
少しずつ増えてはいるんですけれども、544件にとどまっているというのが現実です。
視聴者の方より:「本来ならば、行政が機能すべき」
なぜ、なかなかこうした養子縁組が進まないのか。
ネットを使って赤ちゃんをあっせんしている大阪のNPOを利用した夫婦に、今回その心のうちを実情を取材しました。
ネットで“赤ちゃん”あっせん!? 子を望む夫婦の苦悩
なぜ、子どもを求める夫婦はNPOを頼るのか。
この夫婦はNPOを通じ、まもなく生まれる女の子をあっせんされることになっていました。
養親希望者 30代夫婦
「お顔が見えて、お手々が見えて。
へその緒、握ってるらしいんです。
かわいい。」
子宮にがんが見つかり、妊娠を断念した妻。
夫婦は当初、行政による養子縁組を希望していました。
まず訪ねたのは、近くの児童相談所でした。
養親希望者 30代夫婦
「やはり安全というか、行政を通しているので、安心があるだろうということで。」
実習や面談を受け、養子縁組を希望する里親として認定を受けた夫婦。
そこまでに半年かかりました。
しかし、その後も子どもを引き取ることはできませんでした。
東京都では、常時200組前後の夫婦が養子縁組を待っています。
一方で、養子縁組に至る子どもの数は、年間20〜30人です。
児童相談所では、実の親の意思の確認や、育てる側の適格性の判断に時間をかけざるを得ません。
しかし、待つ側は不満を募らせてしまうのです。
養親希望者 30代夫婦
「ずっと続けているとだんだん、つらくなってくる部分があって、児童相談所の一本でいっていたら、下手すると一生かかっても迎えられない。」
ネットで“赤ちゃん”あっせん!? 子どもの幸せは?
何とか子どもをという親御さんのお気持ちも分かるが?
宋さん:最近、ようやく知られるようになってきましたけれども、妊娠できる年齢というのは、ある程度、限りがあるということだったりを知る機会がなかったりですとか、例えば食事とか、体を温めたりとかということで妊娠できるんじゃないかといって、時間を費やしたりして、必要な生殖医療にアクセスする年齢が遅れてしまうというのが日本の問題なんです。
やっぱり40歳ぐらいで養子縁組の条件を切っている所とかもあって、40歳というと、ちょうど自分の子どもを授かりたいと頑張っている年齢で、なかなか踏み切れないというのもあって、気付けばそういう養子の選択肢が狭まっているという現実があると思うんです。
そこへ、こういう利便性を強調した団体というのがあると、本来は妊娠した女性と子どもというのを主眼にどういうサポートをすべきかを考えるべきであるにもかかわらず、そういう利便性が求められているという背景がどうしてもあると思います。
利便性、効率性というのは、大人側の問題 客観的に考えた時に赤ちゃんの立場から、この問題を見ると、やっぱり大切にしなければならないことがあるのではないかと考えてしまうが?
宮島さん:赤ちゃんは自分では行動できない、何かあっても逃げ出すこともできない、とにかく託されるということで身を任せるしかないわけですから、子どもにとって本当に100%の安全を求めなきゃいけない。
とにかく、3つ安全というのを載せているのは、子どもにとって繰り返し言わなければならないものだと思います。
ただ、この3つ安全というのは、子どものためだけではなくて、託すお母さんにとっても安全でなければならない。
また、託される養子縁組の希望者にとっても安全でなければならない。
3つの安全が必要だというふうに思います。
児童相談所に何とか期待をかける声も多いが、児童相談所が今できることは?
宮島さん:先ほどの方も、行政なら安全ではないか、安心ではないか、これに応えなければいけません。
児童相談所も、もっともっと活発に養子縁組のことをしなければならないと思いますが、ただ、それに応じるためには、やはり人とお金がなければできないんです。
責任だけ負わせて、きちんとやれ、それではブラック企業と同じですので、きちんとそれを児童相談所が担えるような態勢を整備することが不可欠だと思います。
まさにそうした中、児童相談所も養子縁組にできるだけ積極的に関わっていこうという取り組みが始まっています。
養子縁組 新たな取り組み
福岡県で開かれた養子縁組に関する勉強会です。
「赤ちゃん縁組は、妊娠中から相談に乗る。」
妊娠中から女性の相談に乗り、出産後すぐに養子縁組につながる「赤ちゃん縁組」を広げようとしています。
児童相談所 職員
「子どもにとっては必要。」
児童相談所 職員
「一日でも早く、家庭的な環境を与えてあげる方が、子どもにとっては愛着ということを考えるといいのかなと。」
ネットで“赤ちゃん”あっせん!? 広がる波紋
「赤ちゃん縁組」とは、妊娠中から児童相談所が積極的に関わって、生まれた赤ちゃんを速やかに養子縁組、里親につなげようという仕組み 宮島さんは、さらにどうすれば、これがよりよい仕組みになると考える?
宮島さん:この取り組みは非常に先駆的な、注目されている取り組みだと思います。
ただ、少し課題もあると思っています。
この方々が取り組んでいるやり方としては、とにかく家庭を確保するという面では優れているんですが、産んですぐに、分娩台の上から赤ちゃんを養子縁組希望者の方に託すというようなことが推奨されていたり、また、産みの親ではなくて、養子縁組になる方がほとんど、名付け親になるというようなことについては私は疑問を感じています。
この辺は議論があるところで、この辺のことをきちんとまた整理した新しい取り組みも始まっていますので、そのような働きも広がってほしいと願っています。
実は、今年(2016年)5月に児童福祉法が改正され、そこには、子どもをより家庭的な環境の中で育てていこうという方向性が定められました。
そうした中で、改めて、これから養子縁組などを考える上で忘れてはならないことは?
宋さん:まず、なぜ女性が自分の子どもを養子に出さないといけないか。
今回のケースですと、予期せぬ妊娠をしてしまったということが問題になるので、今、女性が日本で避妊にアクセスするのがすごく難しい、ピルも普及しない、緊急ピルはすごく高い、コンドームは男性任せでやるという問題があるので、まずバースコントロールの知識とアクセス、そこがまず議論を始めにしてほしいことだと思います。
それと、養子縁組というのは、自分で産んだ子どもを育てられるというサポートをさんざん考えた上で、それでも無理だという場合の最終手段として扱っていただきたいというふうに思います。
宮島さん:私は「重み」と「おそれ」と書きました。
子どもが家庭を失うということは大変なことです。
一方でまた、子どもが家庭を得るということも大変なことです。
この大変なことにふさわしい関わり、この「重み」のあることを「重み」のあることとしてやるべきだというふうに思います。
これは「おそれ」が必要なことじゃないでしょうか。
(「おそれ」というところには、すごく深い、いろんな意味がありますよね。)
子ども、命、また人生、生活、このすべてが関わる。
産みの親の、また育ての親の人生が関わっているんだと、そのことの「重み」、それにふさわしい対応が必要だと思います。
その時々の子どもを育てたい、赤ちゃんの希望がマッチすることが目的では決してなくて、ずっと共に歩んでいけるような。
宮島さん:そうですね。
伴走型支援が必要だと思います。
また今後も引き続き、この問題は考えていかなくてはなりません。
民間のあっせん団体は、誰でも参入できると聞いて驚きです。
特別養子縁組に関しては、児童相談所と民間のあっせん団体が関わっていますが、 民間のあっせん団体に関しては「届け出」を出せば活動を認められているのが現状で す。厚生労働省によると、今、全国では22の民間あっせん団体が活動しており、 そのほとんどが望まない妊娠に悩む女性たち、 保護を必要とする子どもたちのために懸命に活動しています。 しかし、全国で初めての事業停止命令を受けた 千葉県の団体のように問題となるケースが出ているのも現実。 現在、あっせん団体設立を「許可制」にする法律の整備を急ぐべきだ という議論が進んでいます。
本来なら行政が機能することがのぞましいのでは?
行政で養子縁組を行う児童相談所の職員は虐待の対応に追われがちであったり、そ も そも人員や予算に限りがあり、今の膨大な養子縁組のニーズに対応するにも限界があ ると言われています。しかし、その一方で、児童相談所の中では養子縁組により積極 的に関わっていこうという取り組みも始まっています。妊娠中の女性の相談にのり、 生まれた赤ちゃんを速やかに養子縁組につなげる「赤ちゃん縁組」と呼ばれる取り組 みが広がっています。ゲストの日本社会事業大学の宮島准教授は今後は「児童相談所 への人員や予算の対応が必要だ」と指摘していました。
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2019/03/19 14:48:21
ワーナーブラザース ケビン・ツジハラ会長兼CEO辞任。女優とのスキャンダル発覚で
By mashup NY 編集部 - 2019-03-18
ワーナー・ブラザース・エンターテインメントのケビン・ツジハラ(Kevin Tsujihara)氏(54)は、会長兼最高経営者(CEO)職を辞任することが分かった。ハリウッドレポーターなど複数メディアが報じた。
日系3世のツジハラ氏は、タイム・ワーナーのジェフ・ビューケス(Jeff Bewkes)CEOの後を引き継ぎ、2013年アジア系アメリカ人として、初めてハリウッドのメジャースタジオ役員に就任した。
ツジハラ氏は、ワーナー在職中に、クリストファー・ノーラン監督のダークナイト3部作や、ハリー・ポッターのスピンオフ作品『ファンタスティック・ビースト』シリーズ、パティ・ジェンキンス監督とガル・ガドット主演の『ワンダーウーマン』、ジョン・チュウ監督やアジア系俳優を起用した『クレイジーリッチ!』、ジェームス・ワン監督『アクアマン』などのヒット作を生み出してきた。
ワーナーの親会社、ワーナーメディア(WarnerMedia)のジョン・スタンリー(John Stankey)CEOは18日、「25年間スタジオの成功に多大な貢献を行った。」とツジハラ氏に感謝を述べる一方、「彼が犯した過ちは、リーダーとして求められるものと相反するものであり、彼は、今後の企業の遂行能力に影響を与えると分かっている。」と辞任理由を述べた。
今月上旬にスキャンダルが浮上
ハリウッドレポーターは今月6日、ツジハラ氏と英国人女優のシャーロット・カーク(Charlotte Kirk)さんが交わしたテキストメッセージを公表した。2013年に、オーディションで彼女を推薦することと引き換えに、性的関係を持ったことが明らかとなった。
カークさんを紹介したのは、オーストラリア人の富豪ジェームズ・パッカー(James Packer)氏だ。当時、パッカー氏のビジネスパートナー、ブレット・ラトナー(Brett Ratner)監督は、ワーナーと映画製作の契約を結ぶ交渉を行っていた。
同年、ラトナー氏の製作会社ラットパック・デューン・エンターテインメント(RatPac-Dune)は、ワーナーと4年間で4億5000万ドルの契約を締結している。
2017年、ラトナー監督が複数女性にセクハラ行為をはたらいた疑惑が浮上。その後、ケビン氏は、ラットパック・デューンとの契約を破棄した。
女優のカークさんは、これまでにワーナーの『ワタシが私を見つけるまで』(How to Be Single、2016)と『オーシャンズ8』(2018)に出演している。
ツジハラ氏の代理人は、彼女の起用に直接関与していないと主張している。現在外部の法律事務所が調査を進めている。
PageSixなどよると、カークさんも、ツジハラ氏に関する疑惑は否定しており、2人の間には特別な約束事はなかったと述べている。
スキャンダルは、AT&Tによるワーナーメディア(前タイム・ワーナー)の買収が承認された後に浮上した。
https://www.mashupreporter.com/warner-bros-ceo-kevin-tsujihara-steps-down/
By mashup NY 編集部 - 2019-03-18
ワーナー・ブラザース・エンターテインメントのケビン・ツジハラ(Kevin Tsujihara)氏(54)は、会長兼最高経営者(CEO)職を辞任することが分かった。ハリウッドレポーターなど複数メディアが報じた。
日系3世のツジハラ氏は、タイム・ワーナーのジェフ・ビューケス(Jeff Bewkes)CEOの後を引き継ぎ、2013年アジア系アメリカ人として、初めてハリウッドのメジャースタジオ役員に就任した。
ツジハラ氏は、ワーナー在職中に、クリストファー・ノーラン監督のダークナイト3部作や、ハリー・ポッターのスピンオフ作品『ファンタスティック・ビースト』シリーズ、パティ・ジェンキンス監督とガル・ガドット主演の『ワンダーウーマン』、ジョン・チュウ監督やアジア系俳優を起用した『クレイジーリッチ!』、ジェームス・ワン監督『アクアマン』などのヒット作を生み出してきた。
ワーナーの親会社、ワーナーメディア(WarnerMedia)のジョン・スタンリー(John Stankey)CEOは18日、「25年間スタジオの成功に多大な貢献を行った。」とツジハラ氏に感謝を述べる一方、「彼が犯した過ちは、リーダーとして求められるものと相反するものであり、彼は、今後の企業の遂行能力に影響を与えると分かっている。」と辞任理由を述べた。
今月上旬にスキャンダルが浮上
ハリウッドレポーターは今月6日、ツジハラ氏と英国人女優のシャーロット・カーク(Charlotte Kirk)さんが交わしたテキストメッセージを公表した。2013年に、オーディションで彼女を推薦することと引き換えに、性的関係を持ったことが明らかとなった。
カークさんを紹介したのは、オーストラリア人の富豪ジェームズ・パッカー(James Packer)氏だ。当時、パッカー氏のビジネスパートナー、ブレット・ラトナー(Brett Ratner)監督は、ワーナーと映画製作の契約を結ぶ交渉を行っていた。
同年、ラトナー氏の製作会社ラットパック・デューン・エンターテインメント(RatPac-Dune)は、ワーナーと4年間で4億5000万ドルの契約を締結している。
2017年、ラトナー監督が複数女性にセクハラ行為をはたらいた疑惑が浮上。その後、ケビン氏は、ラットパック・デューンとの契約を破棄した。
女優のカークさんは、これまでにワーナーの『ワタシが私を見つけるまで』(How to Be Single、2016)と『オーシャンズ8』(2018)に出演している。
ツジハラ氏の代理人は、彼女の起用に直接関与していないと主張している。現在外部の法律事務所が調査を進めている。
PageSixなどよると、カークさんも、ツジハラ氏に関する疑惑は否定しており、2人の間には特別な約束事はなかったと述べている。
スキャンダルは、AT&Tによるワーナーメディア(前タイム・ワーナー)の買収が承認された後に浮上した。
https://www.mashupreporter.com/warner-bros-ceo-kevin-tsujihara-steps-down/
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2018/11/20 12:50:58
2015.12.7 17:00
「来世は道になりたい」〝側溝男〟 女性下着のぞきにハマったワケ 逮捕されても止まらない性的嗜好 でも雨天NGの周到計画
阪急岡本駅近くの郵便局前の側溝。男はこの中に未明から5時間も潜み、ふたのすき間から女性の下着をのぞいていた=神戸市東灘区
女性の下着を見たいなら他にも方法はあるだろう。しかし、この男には側溝のふた越しに眺める下着以外に興味がないらしい。「生まれ変わったら道になりたい」。2年半前、側溝内から女性の下着をのぞき見たとして兵庫県警に逮捕された際にそう供述し、世間を驚愕(きょうがく)させた通称「側溝男」。更生したかと思いきや、今年11月、再び同じ罪を犯して逮捕された。尿意や空腹に耐え、何時間も側溝で息をひそめる。実は男の側溝侵入は十数年前から続き、近所でも有名だった。男は取り調べに対し「側溝の中から下着を見たくて仕方がない」と開き直ったという。なぜそこまで側溝に執着し、下着のぞきという性的嗜好(しこう)と結びついたのか。
未明から5時間も側溝潜入
街の明かりがすっかり消え、人の往来もなくなった8月16日午前3時ごろ。神戸市東灘区で両親らと暮らす男(28)は、Tシャツに短パン姿で静まりかえった自宅を出た。
目的地は同区の阪急岡本駅近くの郵便局の出入り口にある側溝。美人の女子大生が多いとされる甲南女子大の最寄り駅であるJR摂津本山駅と岡本駅を結ぶ人通りの多い場所だ。
男は現地に到着するや、周囲に人がいないことを確認し、格子状のふたを急いで開けた。
幅約35センチ、深さ約60センチの側溝に体を押し込めるようにあおむけに横たわり、ふたを閉じる。男は何をするでもなくふたのすき間から夜空を見上げ、日が昇るのを待った-。
約5時間後。同駅で電車を降り、歩いて通勤していた女性(37)が、目の前の側溝のふたから髪の毛のような物がはみ出ていることに気づく。
「一体何だろう。ウィッグ(女性用の付け髪)が落ちているのかなあ」
阪急岡本駅近くの郵便局前の側溝。男はこの中に未明から5時間も潜み、ふたのすき間から女性の下着をのぞいていた=神戸市東灘
正体を確かめようと側溝に近づいて足下に視線を落とした。その瞬間、フタ越しに、中にいた男と目が合った。
「ぎゃあああああ!」
女性は悲鳴を上げて飛び退き、少し離れた場所から110番した。
「変な男が側溝のふたの下に隠れているんです」
県警東灘署員が現場に駆けつけると、男は変わらず側溝の中で寝そべっていた。側溝のふたを外し、男の手をつかんで引っ張り上げ、「何しとったんや」と一喝。すると、男は観念したように犯行を打ち明けた。
「上を通る女性を下からのぞくために側溝に潜んでいました」
任意の事情聴取などを経て、男は11月9日、側溝のふた越しに女性の下着を仰ぎ見ていたとする県迷惑防止条例違反容疑で逮捕された。そして同月19日、神戸簡裁から罰金50万円の略式命令を受けた。
「自分の長所はどこでも寝られること。短所は側溝に入ってしまうこと。興奮してやめられない」
あの日、月明かりに照らされた側溝の中でも熟睡したというのだろうか。男は逮捕後の県警の調べに、こんな供述をしたという。
「またあの男か」署内騒然
男は25年6月にも、今回の現場から北東に約1・5キロ離れた同区の甲南女子大近くで、側溝に3時間潜んで女性の下着をのぞき見たとして逮捕されていた。その当時の供述が「生まれ変わったら道になりたい」。突拍子もない願望が話題をさらい、ネット上で「側溝道」「側溝男」なるあだ名も付いた。
「またあの男か」
捜査関係者によると、東灘署が今回の事件をキャッチした際、署内は騒然となったという。
実は男の側溝侵入癖は十数年前から続いており、近所では有名だった。肉親の一人は「幼いころから、家の軒下や排水溝のような狭い場所で遊ぶのが好きだった」と明かした。
側溝に入るようになったのは中学生のころ。最初は、側溝から突然顔を出して近所の人を驚かせる「いたずら」のつもりだった。それが思春期を迎え、たまたま側溝から女性の下着を見たことで、「側溝と性的嗜好が結びついてしまった」(肉親)という。
男は「側溝に入ることで迷惑がかかることは分かっている。入らないでいいのなら苦労はしない」と身内に〝苦悩〟を明かすこともあった。
「側溝には多い時で年間80回ぐらい入った」
「側溝は落ち着く場所」
県警の捜査員に、男はそんな供述もした。県警幹部の1人は「男が来世で本当になりたいものは道というより側溝なのではないか。どちらの希望も理解しがたいものがあるが…」と困惑気味に話した。
雨の日と寒い日はNG
県警によると、男は身長約170センチ、体重約70キロ。小柄とはいえない体で側溝内に身を潜めるのは、かなりの辛抱が必要だ。
もしゲリラ豪雨となれば側溝は大量の水であふれ、生命の危険が生じる。底冷えがする日は風邪をひくこともあるだろう。「まさに命がけの犯行だ」と捜査関係者。
ただ、男は危険を回避するための入念な準備もしていた。
天気予報は毎日必ずチェック。側溝に入る日は降水確率が終日0%の日を選んだ。実際、「側溝に入っている間に雨が降ったことは1度もない」と豪語しているという。
さらに、シーズンは6~8月がメーン。「冬にも数回入ったことはあったけれど、スカートの人が少ないし、寒いのでやめた」
時間帯は、だいたい人目につかない早朝。側溝から出るタイミングは「工事関係者のふりができる」として特に時間的制約を設けていなかったらしい。
そうした独自ルールを設けた上で、男は多い時には平均週1回以上、側溝に入っていた計算になる。尋常ならざるモチベーションはどこからくるのか。
新潟青陵大の碓井真史教授(社会心理学)は「下着を見ることに加え、側溝の上を通りかかる女性に踏まれることに快感を感じている可能性がある」と分析する。
さらに「ものすごい労力を払っても下着が見えるのは一瞬。普通に考えて割に合わないが、それをやってしまうところに、性のゆがみがある」と指摘。「暗く狭い場所に何時間でもいられるのは特殊な能力。男が性のゆがみを矯正し、将来的にその能力を生かす仕事に就ければいいのだが…」と話した。
中国ネット…「日本の側溝はきれい」
再犯に及んだ「側溝男」のニュースは全国を駆け巡り、ネット上では「怖すぎる」といった書き込みの一方、「その執念を他の分野に生かせないのか」という真っ当な指摘も多く寄せられた。
騒動は海外メディアでも取り上げられ、中国のネット掲示板には、男が5時間にわたって側溝に潜んでいたことを根拠に、「日本の側溝ってきれいなんだな」という書き込みもあった。
今回、男が側溝内に持ち込んだスマートフォンには側溝のふた越しに女性の下着を撮影した動画も残されていたが、被害者が特定できないこともあり、立件には至らなかった。男は略式命令を受けてすでに社会復帰している。
ただ、男は取り調べで目立った反省の言葉は口にしなかったという。捜査関係者は「性癖やから将来的に再犯を繰り返すかもわからん。再発を防ぐには側溝をなくすしかないやろ…」と頭を抱える。
今後、「短所」を克服するため、精神面の治療に励むという「側溝男」。もうこれ以上、女性を恐怖に陥れることは許されない。
「来世は道になりたい」〝側溝男〟 女性下着のぞきにハマったワケ 逮捕されても止まらない性的嗜好 でも雨天NGの周到計画
阪急岡本駅近くの郵便局前の側溝。男はこの中に未明から5時間も潜み、ふたのすき間から女性の下着をのぞいていた=神戸市東灘区
女性の下着を見たいなら他にも方法はあるだろう。しかし、この男には側溝のふた越しに眺める下着以外に興味がないらしい。「生まれ変わったら道になりたい」。2年半前、側溝内から女性の下着をのぞき見たとして兵庫県警に逮捕された際にそう供述し、世間を驚愕(きょうがく)させた通称「側溝男」。更生したかと思いきや、今年11月、再び同じ罪を犯して逮捕された。尿意や空腹に耐え、何時間も側溝で息をひそめる。実は男の側溝侵入は十数年前から続き、近所でも有名だった。男は取り調べに対し「側溝の中から下着を見たくて仕方がない」と開き直ったという。なぜそこまで側溝に執着し、下着のぞきという性的嗜好(しこう)と結びついたのか。
未明から5時間も側溝潜入
街の明かりがすっかり消え、人の往来もなくなった8月16日午前3時ごろ。神戸市東灘区で両親らと暮らす男(28)は、Tシャツに短パン姿で静まりかえった自宅を出た。
目的地は同区の阪急岡本駅近くの郵便局の出入り口にある側溝。美人の女子大生が多いとされる甲南女子大の最寄り駅であるJR摂津本山駅と岡本駅を結ぶ人通りの多い場所だ。
男は現地に到着するや、周囲に人がいないことを確認し、格子状のふたを急いで開けた。
幅約35センチ、深さ約60センチの側溝に体を押し込めるようにあおむけに横たわり、ふたを閉じる。男は何をするでもなくふたのすき間から夜空を見上げ、日が昇るのを待った-。
約5時間後。同駅で電車を降り、歩いて通勤していた女性(37)が、目の前の側溝のふたから髪の毛のような物がはみ出ていることに気づく。
「一体何だろう。ウィッグ(女性用の付け髪)が落ちているのかなあ」
阪急岡本駅近くの郵便局前の側溝。男はこの中に未明から5時間も潜み、ふたのすき間から女性の下着をのぞいていた=神戸市東灘
正体を確かめようと側溝に近づいて足下に視線を落とした。その瞬間、フタ越しに、中にいた男と目が合った。
「ぎゃあああああ!」
女性は悲鳴を上げて飛び退き、少し離れた場所から110番した。
「変な男が側溝のふたの下に隠れているんです」
県警東灘署員が現場に駆けつけると、男は変わらず側溝の中で寝そべっていた。側溝のふたを外し、男の手をつかんで引っ張り上げ、「何しとったんや」と一喝。すると、男は観念したように犯行を打ち明けた。
「上を通る女性を下からのぞくために側溝に潜んでいました」
任意の事情聴取などを経て、男は11月9日、側溝のふた越しに女性の下着を仰ぎ見ていたとする県迷惑防止条例違反容疑で逮捕された。そして同月19日、神戸簡裁から罰金50万円の略式命令を受けた。
「自分の長所はどこでも寝られること。短所は側溝に入ってしまうこと。興奮してやめられない」
あの日、月明かりに照らされた側溝の中でも熟睡したというのだろうか。男は逮捕後の県警の調べに、こんな供述をしたという。
「またあの男か」署内騒然
男は25年6月にも、今回の現場から北東に約1・5キロ離れた同区の甲南女子大近くで、側溝に3時間潜んで女性の下着をのぞき見たとして逮捕されていた。その当時の供述が「生まれ変わったら道になりたい」。突拍子もない願望が話題をさらい、ネット上で「側溝道」「側溝男」なるあだ名も付いた。
「またあの男か」
捜査関係者によると、東灘署が今回の事件をキャッチした際、署内は騒然となったという。
実は男の側溝侵入癖は十数年前から続いており、近所では有名だった。肉親の一人は「幼いころから、家の軒下や排水溝のような狭い場所で遊ぶのが好きだった」と明かした。
側溝に入るようになったのは中学生のころ。最初は、側溝から突然顔を出して近所の人を驚かせる「いたずら」のつもりだった。それが思春期を迎え、たまたま側溝から女性の下着を見たことで、「側溝と性的嗜好が結びついてしまった」(肉親)という。
男は「側溝に入ることで迷惑がかかることは分かっている。入らないでいいのなら苦労はしない」と身内に〝苦悩〟を明かすこともあった。
「側溝には多い時で年間80回ぐらい入った」
「側溝は落ち着く場所」
県警の捜査員に、男はそんな供述もした。県警幹部の1人は「男が来世で本当になりたいものは道というより側溝なのではないか。どちらの希望も理解しがたいものがあるが…」と困惑気味に話した。
雨の日と寒い日はNG
県警によると、男は身長約170センチ、体重約70キロ。小柄とはいえない体で側溝内に身を潜めるのは、かなりの辛抱が必要だ。
もしゲリラ豪雨となれば側溝は大量の水であふれ、生命の危険が生じる。底冷えがする日は風邪をひくこともあるだろう。「まさに命がけの犯行だ」と捜査関係者。
ただ、男は危険を回避するための入念な準備もしていた。
天気予報は毎日必ずチェック。側溝に入る日は降水確率が終日0%の日を選んだ。実際、「側溝に入っている間に雨が降ったことは1度もない」と豪語しているという。
さらに、シーズンは6~8月がメーン。「冬にも数回入ったことはあったけれど、スカートの人が少ないし、寒いのでやめた」
時間帯は、だいたい人目につかない早朝。側溝から出るタイミングは「工事関係者のふりができる」として特に時間的制約を設けていなかったらしい。
そうした独自ルールを設けた上で、男は多い時には平均週1回以上、側溝に入っていた計算になる。尋常ならざるモチベーションはどこからくるのか。
新潟青陵大の碓井真史教授(社会心理学)は「下着を見ることに加え、側溝の上を通りかかる女性に踏まれることに快感を感じている可能性がある」と分析する。
さらに「ものすごい労力を払っても下着が見えるのは一瞬。普通に考えて割に合わないが、それをやってしまうところに、性のゆがみがある」と指摘。「暗く狭い場所に何時間でもいられるのは特殊な能力。男が性のゆがみを矯正し、将来的にその能力を生かす仕事に就ければいいのだが…」と話した。
中国ネット…「日本の側溝はきれい」
再犯に及んだ「側溝男」のニュースは全国を駆け巡り、ネット上では「怖すぎる」といった書き込みの一方、「その執念を他の分野に生かせないのか」という真っ当な指摘も多く寄せられた。
騒動は海外メディアでも取り上げられ、中国のネット掲示板には、男が5時間にわたって側溝に潜んでいたことを根拠に、「日本の側溝ってきれいなんだな」という書き込みもあった。
今回、男が側溝内に持ち込んだスマートフォンには側溝のふた越しに女性の下着を撮影した動画も残されていたが、被害者が特定できないこともあり、立件には至らなかった。男は略式命令を受けてすでに社会復帰している。
ただ、男は取り調べで目立った反省の言葉は口にしなかったという。捜査関係者は「性癖やから将来的に再犯を繰り返すかもわからん。再発を防ぐには側溝をなくすしかないやろ…」と頭を抱える。
今後、「短所」を克服するため、精神面の治療に励むという「側溝男」。もうこれ以上、女性を恐怖に陥れることは許されない。
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2018/04/17 15:33:24
WEBRONZA 朝日新聞デジタル 社会・スポーツ
AV業界とはいかなる業界なのか(上)
AVを隠した撮影などを禁じ健全化をめざす業界自主ルールが4月から実施
河合幹雄 桐蔭横浜大法学部教授(法社会学)
2018年03月27日
list
「AV出演強要」と名付けられた問題と、それについての対応は、他稿で詳しく述べた(現代ビジネス)ので本稿では最小限にとどめ、これまで謎に包まれてきたAV業界について、いかなる業界なのか、さらに、その健全化とはなにか、方向性を考察しておきたい。
警視庁が開いた「アダルトビデオ出演強要問題事件説明会」=2018年2月1日、東京都千代田区内神田1丁目
今回の経緯を簡単に振り返れば、人権団体、内閣府男女共同参画、マスコミ報道、警察の検挙の嵐にあって、AV業界のうち、合法に営業続けたい人々の中から、メーカーと販売・配信・レンタル企業からなる「IPPA」、プロダクションの連合「JPG」、女優の「AVAN」が結束し、AV業界改革推進有識者委員会が2017年4月に創設された。
委員会は、撮影に関して適切になされたという意味での適正AVという枠組みをつくるという基本方針を提示した。私は、その4人の委員のひとりである。この委員会は、10月にAV人権倫理機構として再発足し、業界自主規制ルールを具体化し、2018年4月から完全実施という運びである。
その中身は、統一契約書の使用により、AVであることを隠した勧誘の禁止、AVに出演することのリスクの丁寧な説明、AV女優が最後の瞬間まで出演辞退できるように、撮影準備に要した費用の請求が全くできないようにすること、経済的搾取が起きないように総ギャラと呼ばれる報酬全体の流れを女優に開示すること等を定めた。
さらに、発売後5年以上経過した作品、および、女優のその後の人生に支障がでるなど事情がある場合に、AV人権倫理機構に申請すれば、ネット配信を止め、女優名でサイト内検索できなくする仕組みを2月末から稼働させている。
実は、この配信停止の希望が強く、その目的で人権団体に駆け込む女優、元女優が多数いると推測されることについては他稿で述べたとおりである。
残された問題が二つある。第一は、適正AVの枠組みに参加している各社の隅々まで、新ルールを守ってもらえるようにすることである。社長が理解しただけでは不十分である。JPG、IPPAそれぞれの加入者の現場担当者に対する研修を3月に実施中である。
第二は、別のメーカーグループと第二のプロダクショングループの参加が近いうちに実現予定で、フリーランスの女優のグループも枠組みにはいる方向ということで、合法の業者のシェアは9割近くなるのではと予想しているが、まだ参加してこないグループがあり、それらが、非合法の商売をはじめないか、今後の動向が気にかかる。できるだけ包摂していく方針で臨むつもりである。
この業界のむずかしさは、業界の内と外に境界が引けないことにあるが、合法的に働くつもりがない人々も外部の視線からはAV業界と見えている現状がある。非合法にもいろいろあるが、いわゆる無修正AVと呼ばれる、日本で撮影し海外で配信するグループは、日本のAV女優の撮影時に人権侵害を犯す可能性があり、懸念される。残念ながら、この人たちにはアプローチすることができない。
もうひとつの非合法グループは、海賊版の販売である。これは、直接的には女優の人権侵害をしないかのようにみえるが、合法部分で配信停止しても映像を流し続ける問題と、売り上げが大きく、無修正と合わせると、なんと合法ビジネスを上回る売り上げをあげているとも推測されている。自主規制が有効性を持つためには、海賊版に対する厳格な取り締まりが必要である。
それでは、本題にはいって、AV業界について広い視野から眺めてみよう。
歴史的には、テレビの普及で苦しくなった映画産業が1970年代にピンク映画を世に出した後に現れてきたと理解してよいと思う。ピンク映画は、性器を実際に隠したうえで疑似性交した映像を映画館で鑑賞してもらっていたのに対して、AVの特徴は疑似でない性交をし、映像のほうに細工して性器を隠し、VHS等で個人に販売されてきた。その始まりは80年代である。
その当時は、出演する女優を見つけるのに苦労したと言われ、強引な説得があったという話も伝わっている。80年代終わりごろには、自分から進んで出演する女性が現れはじめ、深夜テレビにも出演し始めた。商品の原価が安い割に高額で売れるため、大きな儲けがあり、90年代から2000ゼロ年代半ばまでが隆盛期であった。この間に、法人化が進み、納税もきっちり行うようになっている。
2008年の恵比寿マスカッツ結成以降、アイドルとの区別が希薄化し、若い女性がアイドルになりたいということで大勢志願してくる状況になっている。ただし、ほとんどの志願者は断られており、スカウトが連れてくる女性にまだ頼っている。ゼロ年代には、インターネットの動画が普及しはじめ、AVの売り上げは打撃をうけている。AVもネット配信されはじめ、今では、レンタルビデオやDVD販売を凌ぐ売り上げをあげているが、売り上げ全体が低下している。
当然、苦しくなる業者が出てきて寡占化が進み、メーカー上位4社でシェアの過半を超えると見込まれている。この寡占化は、自主規制の成立の条件で、適正AVの枠組みから外れるプロダクションを締め出すことがプロダクションに対する強制力となる。メーカーに対しては、ネット配信大手とレンタルビデオ大手が商品を扱わなくなることが脅しとなって自主規制に従ってもらうことができる状況にある。
AV業界とはいかなる業界なのか(下)
登録されたAV女優数は2000人足らず、年間で24000タイトル
河合幹雄 桐蔭横浜大法学部教授(法社会学)
2018年03月29日
list
基本的な状況を知るために2017年7月にアンケート調査を実施した。結果は10月に記者発表しているが、枠組みができて新たな参加者も多数加わった状況で18年夏に第2回アンケートを実施すれば、業界の大まかな状況が明らかにできると考えている。
噂ベースだとAV女優の数は5000などといわれていたが、現在、我々が全員の名前を登録する仕組みを作った結果、登録女優数は2000にも満たない。会社数も、メーカー1000社などという噂とは異なりIPPAと日本映像ソフト制作・販売倫理機構(略称・制販倫、JVPS)を合わせても242社、年間制作タイトル数は約24000である。プロダクションも噂では200社だが、現在加盟手続き中も含めて六十数社である。これらでシェアなら9割を占めていると推測している。
業界の人々がどういう人たちかと言えば、多くの人たちの想像からは大きく異なるのではないかと思う。まだ多少ともイメージすることができる芸能界と比較して、それを問題を多くしたというイメージを持たれているとすれば大きな勘違いである。
確かに業務は芸能界と近いどころか写真集など重なる部分もあるが、ある意味反対の性格である。芸能界は、どちらかというと政治的に右派だが、AV業界は左派である。ピンク映画の後継なのだし、表現の自由を主張する人々が右派のわけはない。もちろん例外も多いし、21世紀にはいってからは政治的には無関心派が多数なのはいずこも同じである。芸能界は派手好き目立ちたがりだが、AV業界人は、大人しく目立つことを好まない。目立つのは女優だけで業界スタッフは裏方である。
AV出演強要被害についてのシンポジウムで登壇した(右から)くるみんアロマさん、ライトハウスの藤原志帆子代表=2017年4月26日、東京都世田谷区
AVプロダクションと芸能プロダクションを比較すれば、報酬が多くもらえること、移籍の自由の制限の厳しさ、どちらをとってもAVプロダクションのほうが断然健全である。もっとも、それでもって修正が必要ないわけではないことは当然である。考えてみれば自然なことだが、稼ぐことに一旦成功すれば、人々は安定志向になる。なんとか、この仕事(AV)を合法的に続けていきたいというのが共通意識であると感じる。
女優ばかりが注目されるが、社会学者として、私は、むしろ周辺の人々に関心がある。購買層は、意識調査でAVを良く見ますかといった質問は無理なため特定しにくい。ファン感謝デーなどの参加者層などから推し量ると、さすがに女性はかなりの少数派、男性の年齢と社会階層は、見事にバラついており多様である。
AV業界のスタッフは、私が見るところ、非常に能力が高い人から低い人までいる。普通の社会人の順行コースをなんらかの支障があって歩めなかった人々のサンクチュアリとなっている可能性があるが、これについては調査できない。
最後に、一般社会の受け止めだが、まずAV自体が女性蔑視であり業界は消滅すべきという熱心な批判グループがある。このグループはフェミニズムの一部と見られる、あるいは名乗っている。彼女たちはAVに詳しくないように思われる。男と女が一緒に出てこない作品が、どれほど多いか、系統的に調べると驚かされる。
売春や風俗における常識であるが、「正常」とされる行為ではない特殊な行為が、妻や恋人相手に不可能なために求められることがしばしばある。映像であるAVは、なおさら現実にできない特殊な性癖が求められている。特殊な性癖に特化した作品を買う恥ずかしさが問題となるため、性癖を隠すために、男女の行為が作品の最後に、まるでアリバイ作りのように付加されており、この部分は視聴されていない可能性すらある。
むろん、女優の魅力だけで勝負する軽い作品もあるが、清楚系でデビュー後、順番に「変わったこと」をやらされるのがAV女優の普通のコースである。
AV業界を強く擁護するのも、女性である。出演女優自身も含めて、男女平等の方向として、女性も自由に性を楽しむという方向性を持った人々である。こちらもフェミニストと呼べると私は考えている。傾向としては、このタイプの女性が社会内で多数派になりそうだと予測しているが、実際にAVにコミットする人は極めて少数である。良くも悪くも男性一般は、強い関心を示さないのが大勢である。
最後に、視野を広げて海外の様子を見ておこう。私が長年暮らしたフランスでは、1981年に社会党政権が誕生するまで、写真の局部を黒く塗って隠していたりしたが、80年代に「解禁」となり、パリのそこかしこにポルノ映画館ができた。ところが、ほどなく、これらは一つを残して全滅し、その後その一つも消滅した。フランスのAVにあたるメーカーは現在数えるほどで、ほぼ壊滅状態である。
この「AV撲滅」の理由は、禁止されたおかげではない。日本でも有名になった映画「エマニュエル夫人」が74年に公開されると、女性の間で大ブームとなり、続編のヒロインを一般募集したところ500人の応募があったという、俗にエマニュエル現象と呼ばれるブームが起きた。三部作まで続いた、このシリーズはフランス女性に強く支持された。女性が性を積極的に楽しむというベクトルが鍵になったと分析されている。
80年代になると、それまでタブーであった同性愛をテーマにした映画が立て続けに公開され、一般向け映画が性表現を思い切りできる状況になった。むろんこれらの映画は、日本公開時は「編集」されてしまう。内容が大味なポルノ映画は、その質において、これらの映画に太刀打ちできないのであるが、それで簡単に淘汰されるわけではない。人間とは、低俗なものを欲する面も持っているのであろう。
実は、ケーブルテレビのCANAL+が、深夜限定だが成人指定のポルノ映画を放映し、見たい人は簡単に見ることができるようになった。その結果、ポルノ映画館は全滅したわけである。パリのSEXショップには、アメリカ製やドイツ製のDVDが多く販売されている。
ドイツは、特殊な性癖の映像に対して最も寛容である。2002年には、売春婦を酷い境遇から守るために、敢えて売春を合法化している。非合法の売春組織に雇用されるのと、合法組織に雇用される場合を比較しての合理的判断である。あたりまえのことだが、経験的データに基づいた合理的判断が政策に生かされていると評価できる。メルケル率いるドイツは、一般的にみても、今世界で唯一まともな政府が統治している国という印象がするが、この分野でもそれが確認できる。
こうしてみると結論はおのずと見えてくる。見たくない人が強制的に見せられない権利に留意し、AVに対して抑制のきいた規制を維持することでよいように思う。
AV業界とはいかなる業界なのか(上)
AVを隠した撮影などを禁じ健全化をめざす業界自主ルールが4月から実施
河合幹雄 桐蔭横浜大法学部教授(法社会学)
2018年03月27日
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「AV出演強要」と名付けられた問題と、それについての対応は、他稿で詳しく述べた(現代ビジネス)ので本稿では最小限にとどめ、これまで謎に包まれてきたAV業界について、いかなる業界なのか、さらに、その健全化とはなにか、方向性を考察しておきたい。
警視庁が開いた「アダルトビデオ出演強要問題事件説明会」=2018年2月1日、東京都千代田区内神田1丁目
今回の経緯を簡単に振り返れば、人権団体、内閣府男女共同参画、マスコミ報道、警察の検挙の嵐にあって、AV業界のうち、合法に営業続けたい人々の中から、メーカーと販売・配信・レンタル企業からなる「IPPA」、プロダクションの連合「JPG」、女優の「AVAN」が結束し、AV業界改革推進有識者委員会が2017年4月に創設された。
委員会は、撮影に関して適切になされたという意味での適正AVという枠組みをつくるという基本方針を提示した。私は、その4人の委員のひとりである。この委員会は、10月にAV人権倫理機構として再発足し、業界自主規制ルールを具体化し、2018年4月から完全実施という運びである。
その中身は、統一契約書の使用により、AVであることを隠した勧誘の禁止、AVに出演することのリスクの丁寧な説明、AV女優が最後の瞬間まで出演辞退できるように、撮影準備に要した費用の請求が全くできないようにすること、経済的搾取が起きないように総ギャラと呼ばれる報酬全体の流れを女優に開示すること等を定めた。
さらに、発売後5年以上経過した作品、および、女優のその後の人生に支障がでるなど事情がある場合に、AV人権倫理機構に申請すれば、ネット配信を止め、女優名でサイト内検索できなくする仕組みを2月末から稼働させている。
実は、この配信停止の希望が強く、その目的で人権団体に駆け込む女優、元女優が多数いると推測されることについては他稿で述べたとおりである。
残された問題が二つある。第一は、適正AVの枠組みに参加している各社の隅々まで、新ルールを守ってもらえるようにすることである。社長が理解しただけでは不十分である。JPG、IPPAそれぞれの加入者の現場担当者に対する研修を3月に実施中である。
第二は、別のメーカーグループと第二のプロダクショングループの参加が近いうちに実現予定で、フリーランスの女優のグループも枠組みにはいる方向ということで、合法の業者のシェアは9割近くなるのではと予想しているが、まだ参加してこないグループがあり、それらが、非合法の商売をはじめないか、今後の動向が気にかかる。できるだけ包摂していく方針で臨むつもりである。
この業界のむずかしさは、業界の内と外に境界が引けないことにあるが、合法的に働くつもりがない人々も外部の視線からはAV業界と見えている現状がある。非合法にもいろいろあるが、いわゆる無修正AVと呼ばれる、日本で撮影し海外で配信するグループは、日本のAV女優の撮影時に人権侵害を犯す可能性があり、懸念される。残念ながら、この人たちにはアプローチすることができない。
もうひとつの非合法グループは、海賊版の販売である。これは、直接的には女優の人権侵害をしないかのようにみえるが、合法部分で配信停止しても映像を流し続ける問題と、売り上げが大きく、無修正と合わせると、なんと合法ビジネスを上回る売り上げをあげているとも推測されている。自主規制が有効性を持つためには、海賊版に対する厳格な取り締まりが必要である。
それでは、本題にはいって、AV業界について広い視野から眺めてみよう。
歴史的には、テレビの普及で苦しくなった映画産業が1970年代にピンク映画を世に出した後に現れてきたと理解してよいと思う。ピンク映画は、性器を実際に隠したうえで疑似性交した映像を映画館で鑑賞してもらっていたのに対して、AVの特徴は疑似でない性交をし、映像のほうに細工して性器を隠し、VHS等で個人に販売されてきた。その始まりは80年代である。
その当時は、出演する女優を見つけるのに苦労したと言われ、強引な説得があったという話も伝わっている。80年代終わりごろには、自分から進んで出演する女性が現れはじめ、深夜テレビにも出演し始めた。商品の原価が安い割に高額で売れるため、大きな儲けがあり、90年代から2000ゼロ年代半ばまでが隆盛期であった。この間に、法人化が進み、納税もきっちり行うようになっている。
2008年の恵比寿マスカッツ結成以降、アイドルとの区別が希薄化し、若い女性がアイドルになりたいということで大勢志願してくる状況になっている。ただし、ほとんどの志願者は断られており、スカウトが連れてくる女性にまだ頼っている。ゼロ年代には、インターネットの動画が普及しはじめ、AVの売り上げは打撃をうけている。AVもネット配信されはじめ、今では、レンタルビデオやDVD販売を凌ぐ売り上げをあげているが、売り上げ全体が低下している。
当然、苦しくなる業者が出てきて寡占化が進み、メーカー上位4社でシェアの過半を超えると見込まれている。この寡占化は、自主規制の成立の条件で、適正AVの枠組みから外れるプロダクションを締め出すことがプロダクションに対する強制力となる。メーカーに対しては、ネット配信大手とレンタルビデオ大手が商品を扱わなくなることが脅しとなって自主規制に従ってもらうことができる状況にある。
AV業界とはいかなる業界なのか(下)
登録されたAV女優数は2000人足らず、年間で24000タイトル
河合幹雄 桐蔭横浜大法学部教授(法社会学)
2018年03月29日
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基本的な状況を知るために2017年7月にアンケート調査を実施した。結果は10月に記者発表しているが、枠組みができて新たな参加者も多数加わった状況で18年夏に第2回アンケートを実施すれば、業界の大まかな状況が明らかにできると考えている。
噂ベースだとAV女優の数は5000などといわれていたが、現在、我々が全員の名前を登録する仕組みを作った結果、登録女優数は2000にも満たない。会社数も、メーカー1000社などという噂とは異なりIPPAと日本映像ソフト制作・販売倫理機構(略称・制販倫、JVPS)を合わせても242社、年間制作タイトル数は約24000である。プロダクションも噂では200社だが、現在加盟手続き中も含めて六十数社である。これらでシェアなら9割を占めていると推測している。
業界の人々がどういう人たちかと言えば、多くの人たちの想像からは大きく異なるのではないかと思う。まだ多少ともイメージすることができる芸能界と比較して、それを問題を多くしたというイメージを持たれているとすれば大きな勘違いである。
確かに業務は芸能界と近いどころか写真集など重なる部分もあるが、ある意味反対の性格である。芸能界は、どちらかというと政治的に右派だが、AV業界は左派である。ピンク映画の後継なのだし、表現の自由を主張する人々が右派のわけはない。もちろん例外も多いし、21世紀にはいってからは政治的には無関心派が多数なのはいずこも同じである。芸能界は派手好き目立ちたがりだが、AV業界人は、大人しく目立つことを好まない。目立つのは女優だけで業界スタッフは裏方である。
AV出演強要被害についてのシンポジウムで登壇した(右から)くるみんアロマさん、ライトハウスの藤原志帆子代表=2017年4月26日、東京都世田谷区
AVプロダクションと芸能プロダクションを比較すれば、報酬が多くもらえること、移籍の自由の制限の厳しさ、どちらをとってもAVプロダクションのほうが断然健全である。もっとも、それでもって修正が必要ないわけではないことは当然である。考えてみれば自然なことだが、稼ぐことに一旦成功すれば、人々は安定志向になる。なんとか、この仕事(AV)を合法的に続けていきたいというのが共通意識であると感じる。
女優ばかりが注目されるが、社会学者として、私は、むしろ周辺の人々に関心がある。購買層は、意識調査でAVを良く見ますかといった質問は無理なため特定しにくい。ファン感謝デーなどの参加者層などから推し量ると、さすがに女性はかなりの少数派、男性の年齢と社会階層は、見事にバラついており多様である。
AV業界のスタッフは、私が見るところ、非常に能力が高い人から低い人までいる。普通の社会人の順行コースをなんらかの支障があって歩めなかった人々のサンクチュアリとなっている可能性があるが、これについては調査できない。
最後に、一般社会の受け止めだが、まずAV自体が女性蔑視であり業界は消滅すべきという熱心な批判グループがある。このグループはフェミニズムの一部と見られる、あるいは名乗っている。彼女たちはAVに詳しくないように思われる。男と女が一緒に出てこない作品が、どれほど多いか、系統的に調べると驚かされる。
売春や風俗における常識であるが、「正常」とされる行為ではない特殊な行為が、妻や恋人相手に不可能なために求められることがしばしばある。映像であるAVは、なおさら現実にできない特殊な性癖が求められている。特殊な性癖に特化した作品を買う恥ずかしさが問題となるため、性癖を隠すために、男女の行為が作品の最後に、まるでアリバイ作りのように付加されており、この部分は視聴されていない可能性すらある。
むろん、女優の魅力だけで勝負する軽い作品もあるが、清楚系でデビュー後、順番に「変わったこと」をやらされるのがAV女優の普通のコースである。
AV業界を強く擁護するのも、女性である。出演女優自身も含めて、男女平等の方向として、女性も自由に性を楽しむという方向性を持った人々である。こちらもフェミニストと呼べると私は考えている。傾向としては、このタイプの女性が社会内で多数派になりそうだと予測しているが、実際にAVにコミットする人は極めて少数である。良くも悪くも男性一般は、強い関心を示さないのが大勢である。
最後に、視野を広げて海外の様子を見ておこう。私が長年暮らしたフランスでは、1981年に社会党政権が誕生するまで、写真の局部を黒く塗って隠していたりしたが、80年代に「解禁」となり、パリのそこかしこにポルノ映画館ができた。ところが、ほどなく、これらは一つを残して全滅し、その後その一つも消滅した。フランスのAVにあたるメーカーは現在数えるほどで、ほぼ壊滅状態である。
この「AV撲滅」の理由は、禁止されたおかげではない。日本でも有名になった映画「エマニュエル夫人」が74年に公開されると、女性の間で大ブームとなり、続編のヒロインを一般募集したところ500人の応募があったという、俗にエマニュエル現象と呼ばれるブームが起きた。三部作まで続いた、このシリーズはフランス女性に強く支持された。女性が性を積極的に楽しむというベクトルが鍵になったと分析されている。
80年代になると、それまでタブーであった同性愛をテーマにした映画が立て続けに公開され、一般向け映画が性表現を思い切りできる状況になった。むろんこれらの映画は、日本公開時は「編集」されてしまう。内容が大味なポルノ映画は、その質において、これらの映画に太刀打ちできないのであるが、それで簡単に淘汰されるわけではない。人間とは、低俗なものを欲する面も持っているのであろう。
実は、ケーブルテレビのCANAL+が、深夜限定だが成人指定のポルノ映画を放映し、見たい人は簡単に見ることができるようになった。その結果、ポルノ映画館は全滅したわけである。パリのSEXショップには、アメリカ製やドイツ製のDVDが多く販売されている。
ドイツは、特殊な性癖の映像に対して最も寛容である。2002年には、売春婦を酷い境遇から守るために、敢えて売春を合法化している。非合法の売春組織に雇用されるのと、合法組織に雇用される場合を比較しての合理的判断である。あたりまえのことだが、経験的データに基づいた合理的判断が政策に生かされていると評価できる。メルケル率いるドイツは、一般的にみても、今世界で唯一まともな政府が統治している国という印象がするが、この分野でもそれが確認できる。
こうしてみると結論はおのずと見えてくる。見たくない人が強制的に見せられない権利に留意し、AVに対して抑制のきいた規制を維持することでよいように思う。
[2]
2018/01/04 02:23:34
わいせつ教員、処分歴チェック 全国でシステム整備へ
朝日新聞 根岸拓朗2017年8月30日20時35分
文部科学省は、わいせつ事件などを起こして重い懲戒処分を受けた教員について、全国の教育委員会が情報を共有し、処分歴をチェックできるシステムをつくる方針を決めた。免職や停職の経歴を他の地域の教委などが検索して確認できるようにする狙いがある。30日に発表した2018年度予算の概算要求に、関連費用約4億8千万円を盛り込んだ。
具体的には、教員の免許情報を一元的に集める「教員免許管理システム」をこれから2~3年かけて改修する。システムに教員それぞれの名前や免許の有効期限や種類とともに、免職に加え、停職の処分歴も載せる方向だ。採用時に教育委員会や私立学校が、わいせつや体罰などによる過去の重い処分の有無を調べられるようにする狙いだが、載せる情報の詳細や検索できる期間は今後、検討する。
また、こうした情報をまとめた証明書を発行し、採用の際に教員免許所有者から提出させることも検討する。これらのシステムは20~21年度の運用開始をめざす。
ただ、過去には卒業式での「君が代」斉唱時の不起立などを理由に停職とされたケースもある。都道府県によって停職以下の処分情報の扱いに違いがあり、刑事裁判の冤罪(えんざい)のように処分の判断が誤っている事態もありうる。載せる情報の範囲や保存期間などについて、論議を呼びそうだ。
このシステムとは別に、禁錮以上の刑や懲戒免職処分を受けて教員免許が失効した人の情報を共有し、各教委などが検索できるデータベースもつくる。これらの理由で免許を失った場合は3年間は再交付されないが、その後は再び免許を得ることができる。今も失効した教員の氏名や生年月日などは官報に載るが、新たに「わいせつ」「体罰」「交通事故」など処分理由も加えたデータベースをつくり、調べやすいようにする狙いがある。(根岸拓朗)
朝日新聞 根岸拓朗2017年8月30日20時35分
文部科学省は、わいせつ事件などを起こして重い懲戒処分を受けた教員について、全国の教育委員会が情報を共有し、処分歴をチェックできるシステムをつくる方針を決めた。免職や停職の経歴を他の地域の教委などが検索して確認できるようにする狙いがある。30日に発表した2018年度予算の概算要求に、関連費用約4億8千万円を盛り込んだ。
具体的には、教員の免許情報を一元的に集める「教員免許管理システム」をこれから2~3年かけて改修する。システムに教員それぞれの名前や免許の有効期限や種類とともに、免職に加え、停職の処分歴も載せる方向だ。採用時に教育委員会や私立学校が、わいせつや体罰などによる過去の重い処分の有無を調べられるようにする狙いだが、載せる情報の詳細や検索できる期間は今後、検討する。
また、こうした情報をまとめた証明書を発行し、採用の際に教員免許所有者から提出させることも検討する。これらのシステムは20~21年度の運用開始をめざす。
ただ、過去には卒業式での「君が代」斉唱時の不起立などを理由に停職とされたケースもある。都道府県によって停職以下の処分情報の扱いに違いがあり、刑事裁判の冤罪(えんざい)のように処分の判断が誤っている事態もありうる。載せる情報の範囲や保存期間などについて、論議を呼びそうだ。
このシステムとは別に、禁錮以上の刑や懲戒免職処分を受けて教員免許が失効した人の情報を共有し、各教委などが検索できるデータベースもつくる。これらの理由で免許を失った場合は3年間は再交付されないが、その後は再び免許を得ることができる。今も失効した教員の氏名や生年月日などは官報に載るが、新たに「わいせつ」「体罰」「交通事故」など処分理由も加えたデータベースをつくり、調べやすいようにする狙いがある。(根岸拓朗)
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2018/01/04 02:14:36
移住者はゴミ出し禁止、絶対の年功序列… 移住民が落ちた「村八分」地獄
2018年1月3日 7時59分 デイリー新潮
移住天国の夢想家が落ちる「村八分」地獄――清泉亮(上)
メディアが称揚するようなバラ色の楽園、そんな聞こえの良い話が実際に待っているはずはない。大分県の「村八分」報道は世間を大いに驚かせた。が、全国の夢多き移住民のハマったぬかるみは深い。ゴミ出しすら許されない、その地獄の実態をご紹介する。
***
平成がそろそろ30年目にさしかかろうかという時代に、穏やかならざる報道であった。去る2017年11月6日、大分県弁護士会は、「Uターン男性への村八分をやめるよう、集落全体に是正勧告した」というのだ。
狐につままれたような印象があるが、その大要は以下の通りである。
〈68歳の男性は母親の介護のために2009年に関西から大分へUターンした。しかし、2年後に地元住民とトラブルに発展。集落の構成員と認められず、行事の連絡や市報の配布先から除外された。弁護士会は「男性に落ち度なし」と結論づけた〉
大分県内の「村八分」に関する勧告は今回で3例目で、過去2度は非公表だった。だが、このままだとUターンする人が減りかねないという弁護士会の懸念が公表に踏み切らせたのだ。
結論から言えば、これは対岸の火事ではない。テレビは盛んに田舎暮らし礼賛番組を流し、移住ブームに便乗する自治体も「こっちの水は甘いぞ」とばかりに移住促進策を打ち出す。ざっと、ここ最近放送された一端を拾っただけでも、
〈「第二の人生」で田舎暮らし〉(テレビ朝日)
〈楽園暮らし憧れ居住者増“日本一住みたい”島根・大田市〉(朝日放送)
〈激化する“人口争奪戦”移住の好条件 続々…〉(テレビ東京)
〈切実 田舎に移住するシングルマザー 人口減に悩む町が後押し〉(よみうりテレビ)
といった恰好で、歯の浮くような惹句のオンパレードである。
惨めで気の毒な「越境ゴミ捨て行」
しかし、実際の暮らしぶりに目を向けてみると、さにあらず。日常のゴミ出しさえままならない、暗澹たる現実が横たわっている。それは、「移住人気日本一」(NPO「ふるさと回帰支援センター」調べ)を誇る、山梨県とて例外ではない。
まず、私が暮らす、山梨県北杜市の実態をご紹介しよう。
20キロ先からゴミ運び
11月初旬、標高1000メートル付近の八ヶ岳南麓の朝はすでに氷点下である。冠雪した駒ヶ岳を擁する南アルプスを一望する市の総合分庁舎の駐車場。ここに、朝7時半を回った頃から、三々五々、四駆車や軽トラが続々と集まってくる。
ドライバーの目的は山々を睥睨(へいげい)するためでは断じてない。ここは、他ならぬゴミ収集所なのだ。地元集落のゴミ収集所に持ち込むことが“許されない”“認められない”移住者たちのための……。
運転席から降りると、かじかむ手を擦りながら、後部座席やハッチバックのドアを開ける。積まれているのは、大量のゴミ袋。その日は「燃えるゴミ」の収集日で、駐車場の端に特設された巨大なゴミ集積倉庫(上の写真)に、ゴミ出しに来るのだ。
平成の大合併で、8町村が合併して誕生した北杜市は、県下最大の広さ。市境から市境までの最長部分はおよそ90キロにも達する。
その広域さゆえに、10キロ、15キロ、場合によっては20キロ先からゴミを運んでくる者も少なくない。20キロとは、東京で言えば、日本橋から調布の味の素スタジアムまでの距離である。ほとんどハーフマラソンだ。
1カ月ほど前に神奈川は横浜から移住してきたという初老の男性に訊ねると……。
「市は干渉できない」
「ネットで手ごろな中古物件があったんで、夏場のうちにと思って移住したんだけど、自治会に入ってないとゴミは出せないって聞いて、ここまで運んできてますよ。どうも、自治会のほうが加入を認めないっていう話だったから。いちいち車にゴミを積んでガソリン使って、ゴミを捨てに何キロも走るっていうのはね、産廃じゃないんだからね。それに、体力的にいつまでできるのか」
一体どういうことなのか。
北杜市下では、集落の単位を「組」と呼ぶことが多い。そして、それぞれの集落でのゴミ収集所は組が運用しているのが建前だ。
北杜市環境課によると、
「収集所そのものは組の所有地に建つ、組の所有物なので、市は干渉できない」
したがって、組に加入していなければ、ゴミ出しはできない、という理屈になる。つまり、組から排除されている移住者は、居住地域内でゴミを出せないのだ。大分県の例に倣えば、これも「村八分」といえようか。
まだ意気軒高な40代の移住者は、
「住民票を移している完全移住者は住民税を支払っているし、別荘所有者であっても北杜市は別荘税を徴収している。さらに、市が指定する有料のゴミ袋を購入しなければゴミは出せないので、そのゴミ袋の代金にも、ゴミ収集の費用は転嫁されているはずだ。そもそも自治会加入とゴミ出しが結びついていることがおかしい」
そう憤る。
他方、東京・世田谷から来て3年になるという初老の夫婦は、いずれは就農をと考えて移住したものの……。
「私たちがいるところは、やっぱり自治会に加入できないところで、だからここまで出しに来てます。雪が降る前はまだいいですけど、さすがに真冬はもう、きついですよ。明日はゴミの日かなんて考えるだけで、げんなりしますよ」
ローカル・ルールに嫌気
移住する前にゴミ出しのことは知っていたかと問えば、
「知りませんでした。まさかね、自治会に入らないとゴミが出せないというのはね。東京では賃貸マンション暮らしでしたけど、これって変な話だと思いますよ。マンションで言えば、所有権者しかゴミは出せない、賃貸住人のゴミ出しは認めないみたいな話じゃないですかね。都会ならば訴訟が起きたっておかしくないですよね」
執拗に訊く一方の私に、この夫婦は逆に尋ねてきた。お宅はどうなんですか?と。
「私は別荘地に移ったんです。そこでは、分別はもちろんしますけど、ゴミ出しは別荘地内にたくさんあるゴミ収集箱に24時間、出すことができますから助かってます」
私が北杜市に移住したのは14年のこと。それ以前にいた長野県佐久地方の過疎の集落では、古老らによる露骨な無視に始まり、公民館での元日からの万歳三唱、早朝4時からの雪かき励行……。こういった常軌を逸したローカル・ルールに早々に嫌気がさして逃げ出し、辿り着いたのが北杜市だったのだ。それも、管理会社が管理する別荘地のなかである。別荘地ゆえに、建築制限を含めた管理規約があり、管理費が課される。しかし、集落での「無視」や「消防団強制参加」「上下関係強要」などの煩わしさとは無縁で“心の安寧代”だと思えば、管理費は高くは感じない。
ひとりでは手に余る雪かきとて、管理事務所に電話一本で、除雪車が急行する。ひと気のない山中で夜間、四駆車が故障し遭難しかけたときも、24時間体制の管理事務所に電話をすると、すぐにランドクルーザーで救援に駆けつけてくれたのだ。自治会未加入の「村八分」集落であれば誰も手を差し伸べてくれなかっただろう。それに、仮に集落の手を煩わせようものならば、“後”が高くつく。
集落では春や秋など年に数回、住民挙げての道路掃除「道普請」が行われる。体調が悪く参加できないものならば……移住歴20年の主婦の言葉を借りると、
「不参加のときは1人頭、3000円を払ってます。夫と2人、どうしても参加できないときは6000円を支払ってます」
ということになる。
飲酒運転天国
たとえ村八分にまで至らずとも、集落での緊張関係・揉め事・軋轢は日常茶飯事だ。
北杜市のみならず、甲州地方の集落は「年功序列」が徹底している。1カ月どころか、1日でも生まれたのが先ならば、同輩ではなく「先輩」なのだという。それゆえに、役所による地元集落への「指導」も、よほどの法令違反がない限りはご法度となる。笑えないジョークでしかあるまい。
当然のことながら、集落においては公私の区別など存在しない。公務員、警察官であったとて、生活圏での人間関係では、古老に頭が上がらない。
それを見越した古老らは狡猾だ。夕刻になればコンビニで買ったビールを勢いよく流し込み、酒臭い息で悠然と軽トラのアクセルを踏んでいく。直進車無視の右左折強行、ウインカー不点灯、一時停止無視、携帯電話片手の通話運転、まるで飲酒運転天国。山梨県下では「マイルール」「山梨ルール」などと称され、もはや道交法などどこ吹く風、なのだ。
夜ともなれば、スナックに平然と車で乗り付け、酒を飲んで帰っていく。そんな行為を咎めようものなら「村八分」にされかねないから、誰も指摘しない。
無邪気な移住者はそうした地域性の洗礼を受け、結果、ノイローゼにもなりかねないのである。
(下)へつづく
***
清泉亮(せいせん・とおる)
ノンフィクション・ライター。1974年生まれ。専門紙記者などを経てフリーに。別の筆名で多くのノンフィクション作品を手掛けてきた。近現代史の現場を訪ね歩き、歴史上知られていない無名の人々の消えゆく記憶を書きとめる活動を続けている。信条は「訊くのではなく聞こえる瞬間を待つ」。清泉名義での著書に『吉原まんだら』『十字架を背負った尾根』がある。
「週刊新潮」2017年11月23日号 掲載
2018年1月3日 7時59分 デイリー新潮
移住天国の夢想家が落ちる「村八分」地獄――清泉亮(上)
メディアが称揚するようなバラ色の楽園、そんな聞こえの良い話が実際に待っているはずはない。大分県の「村八分」報道は世間を大いに驚かせた。が、全国の夢多き移住民のハマったぬかるみは深い。ゴミ出しすら許されない、その地獄の実態をご紹介する。
***
平成がそろそろ30年目にさしかかろうかという時代に、穏やかならざる報道であった。去る2017年11月6日、大分県弁護士会は、「Uターン男性への村八分をやめるよう、集落全体に是正勧告した」というのだ。
狐につままれたような印象があるが、その大要は以下の通りである。
〈68歳の男性は母親の介護のために2009年に関西から大分へUターンした。しかし、2年後に地元住民とトラブルに発展。集落の構成員と認められず、行事の連絡や市報の配布先から除外された。弁護士会は「男性に落ち度なし」と結論づけた〉
大分県内の「村八分」に関する勧告は今回で3例目で、過去2度は非公表だった。だが、このままだとUターンする人が減りかねないという弁護士会の懸念が公表に踏み切らせたのだ。
結論から言えば、これは対岸の火事ではない。テレビは盛んに田舎暮らし礼賛番組を流し、移住ブームに便乗する自治体も「こっちの水は甘いぞ」とばかりに移住促進策を打ち出す。ざっと、ここ最近放送された一端を拾っただけでも、
〈「第二の人生」で田舎暮らし〉(テレビ朝日)
〈楽園暮らし憧れ居住者増“日本一住みたい”島根・大田市〉(朝日放送)
〈激化する“人口争奪戦”移住の好条件 続々…〉(テレビ東京)
〈切実 田舎に移住するシングルマザー 人口減に悩む町が後押し〉(よみうりテレビ)
といった恰好で、歯の浮くような惹句のオンパレードである。
惨めで気の毒な「越境ゴミ捨て行」
しかし、実際の暮らしぶりに目を向けてみると、さにあらず。日常のゴミ出しさえままならない、暗澹たる現実が横たわっている。それは、「移住人気日本一」(NPO「ふるさと回帰支援センター」調べ)を誇る、山梨県とて例外ではない。
まず、私が暮らす、山梨県北杜市の実態をご紹介しよう。
20キロ先からゴミ運び
11月初旬、標高1000メートル付近の八ヶ岳南麓の朝はすでに氷点下である。冠雪した駒ヶ岳を擁する南アルプスを一望する市の総合分庁舎の駐車場。ここに、朝7時半を回った頃から、三々五々、四駆車や軽トラが続々と集まってくる。
ドライバーの目的は山々を睥睨(へいげい)するためでは断じてない。ここは、他ならぬゴミ収集所なのだ。地元集落のゴミ収集所に持ち込むことが“許されない”“認められない”移住者たちのための……。
運転席から降りると、かじかむ手を擦りながら、後部座席やハッチバックのドアを開ける。積まれているのは、大量のゴミ袋。その日は「燃えるゴミ」の収集日で、駐車場の端に特設された巨大なゴミ集積倉庫(上の写真)に、ゴミ出しに来るのだ。
平成の大合併で、8町村が合併して誕生した北杜市は、県下最大の広さ。市境から市境までの最長部分はおよそ90キロにも達する。
その広域さゆえに、10キロ、15キロ、場合によっては20キロ先からゴミを運んでくる者も少なくない。20キロとは、東京で言えば、日本橋から調布の味の素スタジアムまでの距離である。ほとんどハーフマラソンだ。
1カ月ほど前に神奈川は横浜から移住してきたという初老の男性に訊ねると……。
「市は干渉できない」
「ネットで手ごろな中古物件があったんで、夏場のうちにと思って移住したんだけど、自治会に入ってないとゴミは出せないって聞いて、ここまで運んできてますよ。どうも、自治会のほうが加入を認めないっていう話だったから。いちいち車にゴミを積んでガソリン使って、ゴミを捨てに何キロも走るっていうのはね、産廃じゃないんだからね。それに、体力的にいつまでできるのか」
一体どういうことなのか。
北杜市下では、集落の単位を「組」と呼ぶことが多い。そして、それぞれの集落でのゴミ収集所は組が運用しているのが建前だ。
北杜市環境課によると、
「収集所そのものは組の所有地に建つ、組の所有物なので、市は干渉できない」
したがって、組に加入していなければ、ゴミ出しはできない、という理屈になる。つまり、組から排除されている移住者は、居住地域内でゴミを出せないのだ。大分県の例に倣えば、これも「村八分」といえようか。
まだ意気軒高な40代の移住者は、
「住民票を移している完全移住者は住民税を支払っているし、別荘所有者であっても北杜市は別荘税を徴収している。さらに、市が指定する有料のゴミ袋を購入しなければゴミは出せないので、そのゴミ袋の代金にも、ゴミ収集の費用は転嫁されているはずだ。そもそも自治会加入とゴミ出しが結びついていることがおかしい」
そう憤る。
他方、東京・世田谷から来て3年になるという初老の夫婦は、いずれは就農をと考えて移住したものの……。
「私たちがいるところは、やっぱり自治会に加入できないところで、だからここまで出しに来てます。雪が降る前はまだいいですけど、さすがに真冬はもう、きついですよ。明日はゴミの日かなんて考えるだけで、げんなりしますよ」
ローカル・ルールに嫌気
移住する前にゴミ出しのことは知っていたかと問えば、
「知りませんでした。まさかね、自治会に入らないとゴミが出せないというのはね。東京では賃貸マンション暮らしでしたけど、これって変な話だと思いますよ。マンションで言えば、所有権者しかゴミは出せない、賃貸住人のゴミ出しは認めないみたいな話じゃないですかね。都会ならば訴訟が起きたっておかしくないですよね」
執拗に訊く一方の私に、この夫婦は逆に尋ねてきた。お宅はどうなんですか?と。
「私は別荘地に移ったんです。そこでは、分別はもちろんしますけど、ゴミ出しは別荘地内にたくさんあるゴミ収集箱に24時間、出すことができますから助かってます」
私が北杜市に移住したのは14年のこと。それ以前にいた長野県佐久地方の過疎の集落では、古老らによる露骨な無視に始まり、公民館での元日からの万歳三唱、早朝4時からの雪かき励行……。こういった常軌を逸したローカル・ルールに早々に嫌気がさして逃げ出し、辿り着いたのが北杜市だったのだ。それも、管理会社が管理する別荘地のなかである。別荘地ゆえに、建築制限を含めた管理規約があり、管理費が課される。しかし、集落での「無視」や「消防団強制参加」「上下関係強要」などの煩わしさとは無縁で“心の安寧代”だと思えば、管理費は高くは感じない。
ひとりでは手に余る雪かきとて、管理事務所に電話一本で、除雪車が急行する。ひと気のない山中で夜間、四駆車が故障し遭難しかけたときも、24時間体制の管理事務所に電話をすると、すぐにランドクルーザーで救援に駆けつけてくれたのだ。自治会未加入の「村八分」集落であれば誰も手を差し伸べてくれなかっただろう。それに、仮に集落の手を煩わせようものならば、“後”が高くつく。
集落では春や秋など年に数回、住民挙げての道路掃除「道普請」が行われる。体調が悪く参加できないものならば……移住歴20年の主婦の言葉を借りると、
「不参加のときは1人頭、3000円を払ってます。夫と2人、どうしても参加できないときは6000円を支払ってます」
ということになる。
飲酒運転天国
たとえ村八分にまで至らずとも、集落での緊張関係・揉め事・軋轢は日常茶飯事だ。
北杜市のみならず、甲州地方の集落は「年功序列」が徹底している。1カ月どころか、1日でも生まれたのが先ならば、同輩ではなく「先輩」なのだという。それゆえに、役所による地元集落への「指導」も、よほどの法令違反がない限りはご法度となる。笑えないジョークでしかあるまい。
当然のことながら、集落においては公私の区別など存在しない。公務員、警察官であったとて、生活圏での人間関係では、古老に頭が上がらない。
それを見越した古老らは狡猾だ。夕刻になればコンビニで買ったビールを勢いよく流し込み、酒臭い息で悠然と軽トラのアクセルを踏んでいく。直進車無視の右左折強行、ウインカー不点灯、一時停止無視、携帯電話片手の通話運転、まるで飲酒運転天国。山梨県下では「マイルール」「山梨ルール」などと称され、もはや道交法などどこ吹く風、なのだ。
夜ともなれば、スナックに平然と車で乗り付け、酒を飲んで帰っていく。そんな行為を咎めようものなら「村八分」にされかねないから、誰も指摘しない。
無邪気な移住者はそうした地域性の洗礼を受け、結果、ノイローゼにもなりかねないのである。
(下)へつづく
***
清泉亮(せいせん・とおる)
ノンフィクション・ライター。1974年生まれ。専門紙記者などを経てフリーに。別の筆名で多くのノンフィクション作品を手掛けてきた。近現代史の現場を訪ね歩き、歴史上知られていない無名の人々の消えゆく記憶を書きとめる活動を続けている。信条は「訊くのではなく聞こえる瞬間を待つ」。清泉名義での著書に『吉原まんだら』『十字架を背負った尾根』がある。
「週刊新潮」2017年11月23日号 掲載
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